研究課題/領域番号 |
15K04900
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
湯浅 久利 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (50363346)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | エルゴード性 / 無限保測変換 / 位相的実現 / 狭義エルゴード性 |
研究実績の概要 |
2015年度の成果として,『任意のエルゴード的II∞型変換間の因子写像は,一意エルゴード的局所コンパクトカントル極小系間の位相的半共役写像で実現される』ことと,さらに,『2つの変換の共通の拡張になっているエルゴード的II∞型変換が存在しない,因子写像の任意の図式は,一意エルゴード的局所コンパクトカントル極小系間の位相的半共役写像の図式で実現される』ことを,確率測度保存系におけるB.Weiss氏による成果の類似として示すことができた.だが,振り返ってみると,後者の結果には正確性に欠けており,そのギャップを埋めることができたのが2017年度の成果である.その結果,前者の結果においてもより精密な結論に至ることができた.この結果は論文として某雑誌に投稿済み(査読中)であり,プレプリントサーバーarXivに掲載済みである(https://arxiv.org/abs/1709.05387). さて,後者の結果において足りなかった点は,因子写像は固有写像(proper map)であると仮定することであった.この性質は全く特別なものではなく,実際,前者の結果で得られる位相的半共役写像は自然に固有写像として得られる.因子写像が固有写像であることを仮定することにより,狭義エルゴード的(strictly ergodic)局所コンパクトカントル系の因子系として得られる局所コンパクトカントル系も狭義エルゴード的になることが示され(プレプリント,Corollary 2.3),後者の結果を得るのに重要な役割を果たす補題(プレプリント,Lemma 6.1)を証明することができた.この結果については,今年度,2017年度冬の力学系研究集会(於:日本大学軽井沢研修所)と日本数学会年会統計数学分科会(於:東京大学駒場キャンパス)において口頭発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度当初の予定であった成果をいまだ達成できていない.
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今後の研究の推進方策 |
N.Ormes(1997年)による成果『任意のエルゴード的II1型変換はカントル極小系の任意位相的軌道同型類に位相共役表現可能である』の類似物を任意のエルゴード的II∞型変換において証明することを当座の目的とする.そのために,今まで開発した技術を今一度確認し適用範囲を意識して取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
2月に金沢大学で実施した研究集会「数論とエルゴード理論」における旅費として確保していたものの予想より少なくて済んだため.主に,7月に行うエルゴード理論の勉強会(大阪教育大学)と他の研究集会における旅費として使用したい.
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