研究実績の概要 |
本研究は、有限体上に値をとるYang-Baxter写像により力学系を構築することを目的としている。昨年度までに申請者は、有限体上におけるソリトン系をいくつか得た[1]。この系は有限体上において孤立波を保存し、多項式表示を持つ新規な力学系である。そこにおいて用いられる方法は十分に汎用性を持つものであり、これらの系を含む枠組みを構築し、解明することを第一の目標としてきた。 このために平成28年度においては、平成27年度に[2]で得られた楕円数列の一般解のHankel行列式表示のもつ性質を調べた。この解であるHankel行列式の行列要素はCatalan数列を拡張したものであり、組合せ論的にも興味深いものである。1次元離散力学系としてintegralityやLaurent性などといった著しい特徴を持つ楕円数列とそれに付随するSomos数列について考察し、その解の性質を調べてきた。また、対称Somos数列の解の性質について考察した。楕円数列は楕円曲線上の点列に等価なものであり、楕円曲線暗号や代数幾何において本質的である。その楕円数列の解の行列式表示と離散対数問題などの関係やその応用は今後の課題である。 [1] Fumitaka YURA, "Solitons with a nested structure over finite fields", J. Phys. A: Math. Theor 47, 325201-24 (2014). [2] Fumitaka YURA, "Hankel determinant solution for elliptic sequence",Linear Algebra and its Applications 484, 27-45 (2015).
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