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2016 年度 実施状況報告書

有限体上における可積分系の探索

研究課題

研究課題/領域番号 15K04904
研究機関公立はこだて未来大学

研究代表者

由良 文孝  公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (90404805)

研究期間 (年度) 2015-10-21 – 2018-03-31
キーワード離散可積分系 / 楕円曲線 / 楕円数列
研究実績の概要

本研究は、有限体上に値をとるYang-Baxter写像により力学系を構築することを目的としている。昨年度までに申請者は、有限体上におけるソリトン系をいくつか得た[1]。この系は有限体上において孤立波を保存し、多項式表示を持つ新規な力学系である。そこにおいて用いられる方法は十分に汎用性を持つものであり、これらの系を含む枠組みを構築し、解明することを第一の目標としてきた。
このために平成28年度においては、平成27年度に[2]で得られた楕円数列の一般解のHankel行列式表示のもつ性質を調べた。この解であるHankel行列式の行列要素はCatalan数列を拡張したものであり、組合せ論的にも興味深いものである。1次元離散力学系としてintegralityやLaurent性などといった著しい特徴を持つ楕円数列とそれに付随するSomos数列について考察し、その解の性質を調べてきた。また、対称Somos数列の解の性質について考察した。楕円数列は楕円曲線上の点列に等価なものであり、楕円曲線暗号や代数幾何において本質的である。その楕円数列の解の行列式表示と離散対数問題などの関係やその応用は今後の課題である。
[1] Fumitaka YURA, "Solitons with a nested structure over finite fields", J. Phys. A: Math. Theor 47, 325201-24 (2014).
[2] Fumitaka YURA, "Hankel determinant solution for elliptic sequence",Linear Algebra and its Applications 484, 27-45 (2015).

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

一般的な状況においてセルオートマトンを1+1次元離散力学系として見たとき、その可積分性あるいは非可積分性はよくわかっていない。具体的な系に限っても、その保存量などについてよくわからないことが多い。そのような現状において今年度は昨年度に引き続き、1次元離散力学系としてintegralityやLaurent性などといった著しい特徴を持つ楕円数列とSomos数列について考察し、その解の性質を用いることにより新奇な表式を得た。

今後の研究の推進方策

今後は楕円数列およびSomos数列について計算アルゴリズムの観点から考察を行う予定である。この保存量はよく知られており、これまでに今回得られている一般解を用いることにより、co-primeness、クラスタ代数などといった近年進展が著しい視点とともにその力学的な特徴およびアルゴリズムとしての性質を明らかにしたい。

次年度使用額が生じた理由

前年度に数値実験に頼ることのない部分における研究を優先したことにより、数値計算に必要な計算機の選定が遅くなったことによる。

次年度使用額の使用計画

研究発表のための旅費および計算サーバ構築費として、29年度分助成金と合わせて使用する予定である。この次年度使用額が生じたことによる研究の遅れはないと考えられる。

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公開日: 2018-01-16  

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