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2015 年度 実施状況報告書

可積分系理論を基盤とした大変形現象の数値計算のための自己適合移動格子法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K04909
研究機関早稲田大学

研究代表者

丸野 健一  早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (80380674)

研究分担者 太田 泰広  神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (10213745)
高橋 大輔  早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50188025)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード自己適合移動格子スキーム / 構造保存型離散化 / 可積分系
研究実績の概要

非線形波動を記述する偏微分方程式の解の構造を保存する差分スキームの構築法の確立とその数値計算法への応用に向けて,これまで離散化に成功していなかったタイプのソリトン方程式(結合型方程式や複素型方程式)の解の構造を保存する離散化を試みた.結合型短パルス方程式,結合型矢嶋ー及川方程式(多成分長波ー短波共鳴相互作用方程式)の可積分性を保存する離散化を試み成功した.結合型短パルス方程式の厳密解はパフィアンで書けるが,離散化によってもパフィアン解が保たれる差分スキームであり,格子点が波形に合わせて動く自己適合移動格子スキームを構築できた.結合型矢嶋ー及川方程式については格子点は動かないタイプの差分スキームが得られこの差分スキームがパフィアン型の解を持つことを示した.これらの差分スキームを用いて数値計算を行うと従来の数値計算法ではうまくできなかった計算が行えることがわかった.これらの研究結果により我々が提案している構造保存型離散化の方法の適用範囲がさらに広がった.

また,3次元問題に対する自己適合移動格子スキーム構築法の探索のため,例として渦糸方程式の自己適合移動格子スキーム構築に挑み成功した.3次元空間での曲線の運動に関連するソリトン方程式の自己適合移動格子スキームは複素関数を導入して空間1次元のソリトン方程式で表示し離散化することで構築できることがわかった.この例により3次元曲線問題に関しての自己適合移動格子スキームの構成法について理解が進んだ.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り,これまで取り組んできたタイプとは違うソリトン方程式についての自己適合移動格子スキームの構築に成功した.また,3次元問題に対する自己適合移動格子スキーム構築の方法についても理解が進んだ.我々の提案している構造保存型離散化手法によってできる自己適合移動格子スキームを実用的な数値計算法として用いることが可能となりつつある.

今後の研究の推進方策

自己適合移動格子スキームを実用的な数値計算法とするために,様々な初期値に対しての計算を行い,計算精度の検証を行っていきたい.自己適合移動格子スキームの数値計算についてはこれまでは主に厳密解を初期値にして行っていたが,任意の初期値に対しての計算を精度良く行えるようにすることを目指す.また,多次元問題に対する構造保存型離散化や幾何的な考え方を用いた自己適合移動格子スキームの構築法と幾何的アプローチの数値計算への応用についてもさらに理解を深めていきたい.

次年度使用額が生じた理由

(1)国際研究集会を開催するにあたって会場費,謝金等の支出を予定していたが大学の補助により会場費が免除となるなどして経費が少なくて済んだため,(2)論文を出版するにあたっての論文掲載料の支出を予定していたが無料で掲載する論文誌に掲載されたため,(3)招聘予定であったアメリカの共同研究者が訪問できなくなったため,(4)参加した海外での研究集会の旅費を招聘研究機関に負担していただけることになったため.

次年度使用額の使用計画

招聘予定であったアメリカの共同研究者を次年度に招聘する予定であり,招聘旅費に使用する予定である.また,国際会議参加旅費として次年度に使用する予定である.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [国際共同研究] University of Texas Rio Grande Valley(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      University of Texas Rio Grande Valley
  • [雑誌論文] An integrable semi-discretization of the coupled Yajima-Oikawa system2016

    • 著者名/発表者名
      Junchao Chen, Yong Chen, Bao-Feng Feng, Ken-ichi Maruno and Yasuhiro Ohta
    • 雑誌名

      Journal of Physics A: Mathematical and Theoretical

      巻: 49 ページ: 135203:1-19

    • DOI

      10.1088/1751-8113/49/16/165201

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 3次元問題における自己適合移動格子スキームの構築法2016

    • 著者名/発表者名
      丸野健一, 畑絢佳
    • 雑誌名

      京都大学数理解析研究所講究録

      巻: 1989 ページ: 104-112

  • [雑誌論文] Integrable semi-discretization of a multi-component short pulse equation2015

    • 著者名/発表者名
      Bao-Feng Feng, Ken-ichi Maruno, Yasuhiro Ohta
    • 雑誌名

      Journal of Mathematical Physics

      巻: 56 ページ: 043502:1-15

    • DOI

      10.1063/1.4916895

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 3次元問題における自己適合移動格子スキーム2015

    • 著者名/発表者名
      丸野健一
    • 学会等名
      研究集会「可積分系が拓く現象数理モデル」
    • 発表場所
      明治大学先端数理科学インスティチュート
    • 年月日
      2015-11-05 – 2015-11-07
  • [学会発表] 3次元空間における自己適合移動格子スキームの構築法2015

    • 著者名/発表者名
      丸野健一
    • 学会等名
      研究集会「非線形波動現象の数理に関する最近の進展」
    • 発表場所
      京都大学数理解析研究所
    • 年月日
      2015-10-14 – 2015-10-16
  • [学会発表] 渦糸方程式の自己適合移動格子スキーム2015

    • 著者名/発表者名
      丸野健一
    • 学会等名
      流体力学会年会2015
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      2015-09-26 – 2015-09-28
  • [学会発表] A self-adaptive moving mesh scheme in 3-dimensional space2015

    • 著者名/発表者名
      丸野健一
    • 学会等名
      The International Congress on Industrial and Applied Mathematics 2015
    • 発表場所
      北京,中国
    • 年月日
      2015-08-10 – 2015-08-14
    • 国際学会
  • [学会・シンポジウム開催] Computational and Geometric Approaches for Nonlinear Phenomena2015

    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      2015-08-05 – 2015-08-07

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公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-01-24  

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