研究課題/領域番号 |
15K04911
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
鈴木 貴雄 近畿大学, 理工学部, 准教授 (60527208)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | パンルヴェ方程式 / 離散可積分系 / リー代数 / クラスター代数 / ワイル群 |
研究実績の概要 |
今年度は前年に引き続き,一般化q-パンルヴェVI系の代数的構造,特にワイル群やクラスター代数との関連について調べた.また,A型ドリンフェルト・ソコロフ(DS)階層の相似簡約のポワソン構造やハミルトン系表示についても調べた.今年度に得られた研究成果は次の通りである. (a) 前年の研究では,津田の一般化q-パンルヴェVI系を箙の変異として記述したが,その際に用いた手法は「箙を不変に保つような変異と置換の合成を探す」というものであった.今年度は前年の研究を更に推し進めて,箙を不変に保つような変異と置換の合成からクラスター変数についての双有理変換群を構成し.その平行移動作用から前年に得られたものとは異なる方程式系を導くことに成功した.更にこの研究の副産物として,坂井による2階q-パンルヴェ方程式の退化構造が箙の頂点の合流操作から導かれることを示した.以上の結果は全て,大久保(青山学院大)との共同研究によるものである. (b) 3成分KP階層の(n,n,n)-周期簡約に相当するA型DS階層について,その相似簡約を2変数(6n-4)階多項式ハミルトン系として記述するような正準座標系を与えることに成功した.またこのハミルトン系の特殊解として,シンプソンのEven4超幾何微分方程式を含むリジッド系のあるクラスが現れることが,併せて明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在q-パンルヴェVI方程式の一般化として,坂井のq-ガルニエ系,津田によるq-UC階層の相似簡約,増田のq-笹野系,研究代表者によるq-DS階層の相似簡約の4種類が知られている.このうち,q-ガルニエ系とq-DS階層の相似簡約とは本質的に等価であることが長尾・山田によって明らかにされたが,残りの2種類との関係は未だ不明である.上記(a)の結果は,q-DS階層とq-UC階層との関係を明らかにし,更にこれら3種類の方程式系の由来となるワイル群の構成という問題を解決する手掛かりとなることが十分に期待できる. 研究代表者はこれまでの研究において,様々な型のDS階層の相似簡約を多項式ハミルトン系として記述してきたが,その際に用いた手法は発見法的なものであり,良い正準座標を与えるような一般的なアルゴリズムは未だ存在しない.上記(b)の結果は,この長年の懸念事項を解決する手掛かりとなることが期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の2点について詳しく調べていきたい. (a) 様々な一般化q-パンルヴェVI系の間の関係,およびその背後に存在する代数的な構造(特にワイル群)を明らかにする. (b) 一般のA型DS階層の相似簡約について,良い正準座標を見つけて多項式ハミルトン系として記述し,そのリジッド系による特殊解を探す.更に,これまでに得られたDS階層の相似簡約とそのリジッド系による特殊解をまとめてq-差分化する.
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次年度使用額が生じた理由 |
科研費によって図書および物品を購入する必要がなくなったため.
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