研究課題/領域番号 |
15K04912
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
中津 了勇 摂南大学, 理工学部, 教授 (10281502)
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研究分担者 |
高崎 金久 近畿大学, 理工学部, 教授 (40171433)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ランダム平面分割 / 位相的頂点 / 量子トーラス代数 / 位相的開弦振幅 / q-差分方程式 / 量子リーマン曲線 |
研究実績の概要 |
ゲージ理論の厳密解、 ミラー対称性、グロモフ-ウィッテン不変量などの数理物理の様々な局面において新たな研究対象となっているランダム平面分割に焦点を当てて、量子トーラス対称性や離散対称性など確率モデルの持つ対称性に着目することにより、 関連する可積分構造の精密な理解に迫り、数理物理への可積分系の応用を追及することが、この研究の目的である。本年度は、 1. 昨年度に続いて、量子トーラス対称性を利用して、closed vertexの厳密な開弦振幅の代数構造に関する考察を進めた。Closed vertexは開いた3次元トーリック カラビ・ヤオ多様体のひとつで、その閉弦振幅(分配関数、グロモフ-ウィッテン不変量の母関数)は代数幾何的手法や位相的頂点の方法で求められている。Closed vertexの開弦振幅の1変数母関数はある種のq-差分方程式を満たして、ダイクグラフたちの量子幾何学では「非可換多項式の可換極限 = ミラー曲線」であると予想されている。Closed vertexの量子ミラー曲線が q-差分型Kac-Schwarz作用素として解釈できることを示した. 同様の解釈はコニフォルドをはじめとするstrip geometry上の位相的弦理論にもあてはまる.2. 量子トーラスLie代数のシフト対称性の一般化を与えた。一般化された対称性にはstrip型の歪ヤング図形のシューア関数の特殊値が現れ, 位相的頂点の母関数など今まで手が付けられなかった対象の考察が可能になる。3. strip geometry上の開弦振幅について、その多変数母関数の可積分構造の研究も進めた。特に、多変数母関数は金子たちの一般化された多変数q-超幾何級数と深く関係している。量子トーラス対称性とq-超幾何級数を鍵として、量子幾何学と可積分階層の関連まで視野に入れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
位相的頂点と関係する量子トーラスLie代数のシフト対称性の一般化を与えた。一般化されたシフト対称性にはstrip 型の歪ヤング図形(リボン図形)のシューア関数の特殊値が現れ, 位相的頂点の母関数など今まで計算できなかった対象の考察を可能にする。
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今後の研究の推進方策 |
1次元鎖に類似のウェッブ図形(トーリック図の双対図形)で決まる開いた3次元 トーリック カラビ・ヤオ多様体の開弦振幅について、その多変数母関数の可積分構造の研究を進めている。特に、多変数母関数は金子たちの一般化された多変数q-超幾何級数と深く関係している。量子トーラス対称性とq-超幾何級数を鍵として、量子幾何学と可積分階層の関連まで視野に入れている。 量子トーラス代数の一般化されたシフト対称性に関する結果を論文にまとめること。 これを量子トロイダル代数の表現論をランダム平面分割の視点から捉え直すこと、 量子トロイダル代数は2つのパラメータによる変形W代数であり、 量子トーラスLie代数はそのひとつの古典極限に相当している。
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次年度使用額が生じた理由 |
中津、高崎ともに、海外の研究者との情報交換や研究打ち合わせのための海外出張を予定していたが、想定を超えて研究を進めることが可能であることがわかり、海外出張を取りやめて、当該研究を進展を図った。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年度に海外の研究者との情報交換のための海外出張を加える予定である。
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