研究課題
本研究の目的は、ポテンシャル論における各主関数のディリクレ問題・ノイマン問題と2乗可積分な半完全正則微分のなす空間の再生核、および多変数関数論的変動である擬凸性との関係を明らかにすることである。本年度得られた研究成果は次の通りである。1.単著論文Log-plurisubharmonicity of metric deformations induced by Schiffer and harmonic spansが査読付き国際雑誌Mathematische Zeitschriftに出版された。本論文では、Schifferスパンおよび調和スパンが誘導する2つの計量について考察し、プラナーリーマン面ではそれらの計量は一致すること、曲率が負で完備な計量であることを証明した。また、プラナーリーマン面の変動が擬凸の場合は対数的多重劣調和性を示すことに成功した。2.共著論文(S.Hamano, M.Shiba, and H.Yamaguchi) Hyperbolic span and pseudoconvexityが査読付き国内雑誌Kyoto Journal of Mathematics に出版された。本論文では、種数1の開リーマン面の正則族が擬凸ならば、開リーマン面の双曲的スパンが劣調和関数であることを示した。また、変動が擬凸、かつ、双曲的スパンが調和ならば、その変動は自明であることを証明した。7月に韓国のPOSTECH、慶州、中国のChern Institute of Mathematicsでの国際研究集会にて招待講演し、得られた研究成果の情報発信に努めた。3.種数1の開リーマン面の族における流体力学的微分の変動を2階変分で明記した。その変分公式を用いて同時一意化問題への応用を考察中であり、部分的な結果は10月に第59回函数論シンポジウムでの招待講演にて発表した。
2: おおむね順調に進展している
今年度は、本研究課題についての論文2編が出版された。また、研究代表者は得られた研究成果について7件の招待講演を行った。種数1の開リーマン面の族における流体力学的微分の2階変分公式を用いた応用について、引き続き考察する。
種数1の開リーマン面の族における流体力学的微分の2階変分公式を用いた応用について、引き続き検討し具体例の構成を目指す。また、一般の有限種数への拡張を目指す。
旅費および物品費の使用はほぼ予定通りであったが、若干の端数が生じたため。
研究発表のための旅費に使用する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 4件、 招待講演 8件) 図書 (1件) 備考 (1件)
Kyoto Journal of Mathematics
巻: 57 ページ: 165~183
10.1215/21562261-3759558
Mathematische Zeitschrift
巻: 284(1-2) ページ: 491-505
10.1007/s00209-016-1663-4
http://rdbsv02.osaka-cu.ac.jp/profile/ja.p4Mf4V7TsBuK-Bgj-iiCvg==.html