研究課題/領域番号 |
15K04929
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
下村 哲 広島大学, 教育学研究科, 教授 (50294476)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ソボレフ関数 / 楕円型偏微分方程式 |
研究実績の概要 |
楕円型偏微分方程式の解について、存在と一意性、正則性などの解析的な性質を研究する方法はいくつかあるが、ペロンの方法に代表されるポテンシャル論的方法はその有力なものの一つである。特にソボレフ空間とそれに付随する容量の概念は、方程式の弱解の正則性を調べ、それが強解であるかどうかを判定するのに欠かせない道具である。本研究では、実解析学だけでなく、偏微分方程式論、多様体上の微分幾何学やグラフ上の解析学、電気流動学や弾性学などへの幅広い応用を念頭に、ソボレフ関数を利用して、楕円型偏微分方程式の解がもつ解析的な性質をポテンシャル論的方法により研究することを目的とする。本年度は次のような研究を行った。 Musielak-Orlicz空間におけるノルム不等式について成果を得た。さらに、non-doubling測度空間上のgrand Musielak-Orlicz-Morrey空間において、リースポテンシャルに対するTrudingerの指数積分不等式や連続性について成果を得た。non-homogeneous central Musielak-Orlicz-Morrey空間における極大作用素の有界性やソボレフの不等式に関する成果を得た。 non-doubling測度空間上で、Morrey空間からCampanato空間への一般化されたリースポテンシャルに対する有界性や変動指数をもつルベーグ空間に属する関数のリースポテンシャルに対するソボレフの不等式に関する成果を得た。 距離空間上における境界値零をもつMusielak-Orlicz-Sobolev空間の諸性質を調べた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Musielak-Orlicz-Morrey空間などの関数空間において、極大作用素の有界性に関する結果や、その応用として、Musielak-Orlicz-Morrey空間に属する関数のリースポテンシャルに対するソボレフの不等式及びTrudingerの指数積分不等式に関する結果を得た。Musielak-Orlicz空間におけるノルム不等式に関しても成果を得た。距離空間上でのソボレフ型定理に関する成果も得たりするなど、変動指数をもつ関数空間上におけるソボレフ型定理を発展させることができた。このように、本年度予定していた以上の成果を得ることができたから。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、予定していた以上の成果を得ることができ、研究は順調に進展している。今後は、平成28年度の研究をさらに発展させるために、平成28年度に得た結果の証明のアイディアをもとに、距離空間上のMusielak-Orlicz-Morrey空間に関するソボレフ型定理などの研究に取り組み、変動指数をもつ関数空間上におけるソボレフ型定理をさらに発展させる予定である。
|