区分的定数経路による時間分割近似法を用いて、変数係数高階放物型方程式に対応する相空間経路積分が数学的意味をもつ2つの一般的な汎関数の集合を与えた。より正確に言えば、各々の集合に属する任意の汎関数に対し、相空間経路積分の時間分割近似法は、位置経路の終点と運動量経路の始点に関して、広義一様収束する。また、不確定性原理に関わらないように基本的な汎関数を2つの集合に分けているため、各々の汎関数の集合は、和や積、経路に関する平行移動、経路に関する正則線形変換、経路に関する汎関数微分の演算に関して閉じている。このため、多くの相空間経路積分可能な汎関数を創ることができる。特に、何回でも汎関数微分できる。相空間型の場合、位置と運動量を同時に測定できない不確定性原理があり、しかも高階放物型の場合は位置と運動量が対称的でないため、使用する際には注意が必要であるが、この相空間経路積分において、時間に関する積分との順序交換定理、極限との順序交換定理に加え、経路に関する直交変換における不変性、運動量経路に関する平行移動における不変性、運動量経路に関する汎関数微分の部分積分など可能となる演算を示した。この結果は、Bulletin des Sciences Mathematiquesで2019年1月にwebで公開され2019年7月に出版予定である。また2018年10月16日に京都大学の数理解析研究所での研究集会「代数解析学の諸問題-超局所解析及び漸近解析-」でも講演した。さらに、日本数学会の雑誌「数学」の2018年4月号の論説で、シュレディンガー方程式に対応するLagrange型経路積分とHamilton型経路積分の時間分割近似法による私の理論を紹介した。
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