研究課題/領域番号 |
15K04939
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
鈴木 紀明 名城大学, 理工学部, 教授 (50154563)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 核解析 / ポテンシャル解析 / 放物型 Bergman 空間 / 重み付き多項式近似 / 熱方程式の境界値問題 |
研究実績の概要 |
本研究は核関数の解析を通してポテンシャル論の新展開を目指すもので,具体的には,(1) Martin 核の解析による楕円型および放物型偏微分方程式の正値解の構造の決定,(2) 分数べきの放物型作用素に関する基本解と再生核(Bergman 核)の精密な評価,(3) 対数核の解析による実軸上での多項式近似理論の進展,を進めることにより,これらの解析をポテンシャル解析の立場から見直し,それらの間のより深い関連性を考察することである. 初年度から (1), (2), (3) を並行して研究を進めているが,昨年度は,(2) において分数べき放物型作用素の作るHardy型の空間における,Carleson測度やToeplitz作用素の有界性についてのいくつかの結果を得られた.今年度は (3) の対数核の解析に関連する.実軸上の重み付き多項式近似の研究に二つの進展があった.一つは,直交多項式によるFourier級数の de la Valle Poussin 平均は,与えられた関数の 良い近似になっているが,関数が絶対連続の場合は de la Vallee Poussin 平均の導関数が与えられた関数の導関数 の近似になる事実が示し,「Exponentially weighted polynomial approximation for absolutely continuous functions」として出版した.さらに,いつFourier級数の単なる部分和が元の関数にいつ一様収束するかについての調べて「Uniform convergence of orthogonal polynomial expansions for exponential weights」として整理した.この論文は受理されて掲載が決定している.これらの結果は重みがFreud型の場合には知られていたが.Erdos型については新しい結果である. また,熱方程式の境界値問題が多項式の解をもつための条件を調べた.Hermite 多項式の零点に関する古典的な結果が鍵となることがわかり,その結果を日本数学会で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
個々の対象については一定の研究成果を得ているが,深い関連性を探るという観点からは十分とは言えない部分もある.個々の結果を一般的立場から統一的に捉えることが必要である.(2) では上半空間をより一般化しての考察,(3) では多変数の場合の考察,などをすすめたい.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は基本的には申請者が一人で進めているが,連携研究者との打ち合わせや,毎週金曜に定期的に行っているポテンシャル論セミナーの実施は,研究遂行の上で極めて有効なので今後も継続したい.特に,重み付きの多項式近似に関して,その重みから決まる直交多項式が3項間漸化式を満たすことはよく知られているが,漸化式の係数の評価は簡単でない.最近,係数の評価が重みの MRS 数と関係している事実を学んだが,この結果をより精密化してみたい. 今年度に国際集会での成果発表を考えていたが,日程の調整ができなかった.来年度(2018年7月)に台湾で開かれる国際集会に参加することを決めている.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では本年度に外国出張を行うつもりでいたが調整がつかず断念した.次年度(2018年7月)に台湾で開かれる国際集会で成果発表を行う予定である.
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