研究実績の概要 |
本研究は,Φをn次元ユークリッド空間R~nからR~dへの写像で,ΩをR~nの単位球面上の可積分函数で積分平均0,h(t)を1変数函数として,曲面{(x,y)∈R~d×R~n;x=Φ(y)}に関連した特異積分作用素 T_{Ω,Φ,h}f(x)=p.v.∫_{R~n}h(|y|)Ω(y)|y|~{-n}f(x-Φ(y))dy, x∈R~d および,そのベクトル値版であるリトルウッド・ペーリー作用素,とくにマルチンキエヴィッチ積分作用素のトリーベル・リゾルキン空間での性質を,核函数Ω(y),揺らぎ函数 h(t),R~nからR~dへの写像Φに種々の条件{(i) d=n, Φ(y)=φ(|y|)y'),φ(t)が適当な条件を満たす. (ii) d=n+1, Φ(y)=(y, φ(|y|))でφ(t)が適当な条件を満たす.(iii) d>nでΦ(y)=(P_1(y),P_2(y),...,P_d(y));P_j(y)多項式}を与えてTのトリーベル・リゾルキン空間での有界性などの性質を調べることが目的である.初年度の今年は,以下の結果を得た. 1.(i)について, Triebel-Lizorkin space boundedness of Marcinkiewicz integrals associated to surfaces. Appl. Math. J. Chinese Univ. Ser. B 30 (2015), no. 4, 418-446 を発刊できた. 2.曲面に直接関連したものではないが,ベクトル値多重線形特異積分である多重線形リトルウッド・ペーリー函数のLp有界性を論じる結果を得た.研究発表欄に記したように次の表題の論文として学術雑誌に掲載された.S. He, Q. Xue, T. Mei, K. Yabuta, Existence and boundedness of multilinear Littlewood-Paley operators on Campanato spaces. J. Math. Anal. Appl. 432 (2015), no. 1, 86-102および Q. Xue, X. Peng and K. Yabuta, On the theory of multilinear Littlewood-Paley g-function. J. Math. Soc. Japan 67 (2015), no. 2, 535-559. 3. 連携研究者の佐藤秀一氏が,曲面に直接関連したものではないが,研究成果欄に記したように,ベクトル値特異積分であるリトルウッド・ペーリー函数についての新知見を得た.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画では「曲面に関連した特異積分T_{Ω,Φ,h}とトリーベル・リゾルキン空間について,過去の結果の整理・精査を行うと共に,(ii) d=n+1, Φ(y)=(y,φ(|y|))の場合について研究深化を計り,さらに,重要な核函数の空間F_alpha(S~{n-1})と我々が主に扱ってきた核函数の空間WF_beta(S~{n-1})の包合関係をより明確にする.」であったが,結果として,この面では進展をはかることができなかった.しかし,(i)の場合の研究進化に貢献でき,望ましい方向に進展しているということで,表記のように自己評価した.
|