研究実績の概要 |
Φをn次元ユークリッド空間R~nからR~dへの写像で,ΩをR~nの単位球面上の可積分函数で積分平均0,h(t)を1変数函数として,曲面{(x,y)∈R~d×R~n;x=Φ(y)}に関連した特異積分作用素 T_{Ω,Φ,h}f(x)=p.v.∫_{R~n}h(|y|)Ω(y)|y|~{-n}f(x-Φ(y))y, x∈R~d および,そのベクトル値版であるリトルウッド・ペーリー作用素,とくにマルチンキエヴィッチ積分作用素のトリーベル・リゾルキン空間での性質を,核函数Ω(y),ゆらぎ函数 h(t),R~nからR~dへの写像Φに種々の条件{(i) d=n, Φ(y)=φ(|y|)y'),φ(t)が適当な条件を満たす. (ii) d=n+1, Φ(y)=(y, φ(|y|))でφ(t)が適当な条件を満たす.(iii) d>nでΦ(y)=(P_1(y),P_2(y),...,P_d(y));P_j(y)多項式}を与えてTのトリーベル・リゾルキン空間での有界性などの性質を調べることが目的である. 以下の結果を得た. 1.(i)について, Remark on the Triebel-Lizorkin space boundedness of rough singular integrals associated to surfaces. Sci. Math. Jpn. 79, No. 2, 165-174 (2016) を発刊した. 2.(ii)について,Y. Ding, K. Yabuta, Triebel-Lizorkin space boundedness of rough singular integrals associated to surfaces of revolution. Sci. China, Math. 59, No. 9, 1721-1736 (2016)を発刊した. 3.(i)の場合のベクトル値多重線形特異積分であるマルチンキエヴィッチ積分作用素のLp有界性を論じる結果を得た.研究発表欄に記したように次の表題の論文として不定期学術雑誌に掲載された.Y. Sawano, K. Yabuta, Weighted estimates for fractional type Marcinkiewicz integral operators associated to surfaces. Advanced Lectures in Mathematics (ALM) 34, 331-367 (2016).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画では「曲面に関連した特異積分T_{Ω,Φ,h}とトリーベル・リゾルキン空間について,(i)の場合の研究を進展させると共に,(a) (ii) d=n+1, Φ(y)=(y,φ(|y|))の場合について研究深化を計り,(b) 重要な核函数の空間F_alpha({S~{n-1}})と我々が主に扱ってきた核函数の空間WF_beta({S~{n-1}})の包合関係をより明確にする.」を継続して研究することであった.(i), (ii)については進展があったが,(b)では進展をはかることができなかったが,(i), (ii)の場合の研究進化に貢献でき,望ましい方向に進展しているということで,表記のように自己評価した.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の「今後の研究の推進方策等」で述べたように(ii)の研究を続け一応の成果を得たが,更に努力を続ける.(i)の研究でも成果を得ることができたが,予定通り更に研究を進める.本来の3年目の研究計画では,(ii-2) $\Phi(y)=(\phi(|y|)y/|y|, \Psi(y))$で$\phi(t)$が適当な条件を満たし,$\Psi(y)=(P_1(y),P_2(y),\cdots,P_d(y))$, $P_j(y)$: 多項式 の場合にも研究を進めるつもりである.さらに,(iii)の場合の研究に入るつもりである. このため,この分野の文献調査を行いつつ種々の試行考察を関数近似論への応用(研究分担者北原和明氏担当)を含めて行う.その際,国内の調和解析分野の研究者とのアイデアの交換・討論により研究進展を図る.また,北京師範大のXue教授・Ding教授とのアイデアの交換・討論もこれまでと同様に引き続き行う.
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