研究課題/領域番号 |
15K04962
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
三沢 正史 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (40242672)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | p調和写像 / p調和方程式 / 退化特異楕円型 / p調和写像流 / 退化特異放物型 / 正則性特異性 |
研究実績の概要 |
二つの滑らかなコンパクトリーマン多様体の間の写像に対して, その一階導関数のp乗積分(p>1), pエネルギー, を考える. その臨界関数(Euler Lagrange方程式の解)をp調和写像, またその勾配流をp調和写像流とよぶ. これらは,(時間発展) p調和方程式系, とくに, 非線形退化特異楕円型(放物型)2階偏微分方程式系の解として定まる. 1.p調和写像に関連するある新しい退化特異型エネルギー最小化問題を提案し, 対応する退化特異2階偏微分楕円型方程式の弱解の正則性を証明した(研究発表参照). 2. p>2の場合に, ほとんど最良のスケール関係にある局所スケールエネルギーの有界性のもと, p調和写像流のpエネルギー有界な滑らかな解に対して一様に成り立つ新しい先験的評価を証明した. このために, p調和写像流の解に対して, ほとんど最良のスケール関係にある局所スケールエネルギーの単調性評価を構築した. また, 以上の先験的評価によって, pエネルギー有界な滑らかなp調和写像流のコンパクト性, とくに極限写像がp調和写像流の部分的正則な弱解であることを証明し, 極限写像の特異性集合の大きさをハウスドルフ測度でほとんど最良に評価した(研究発表参照). 3. p>2の場合に, 大きいエネルギーの初期値に対するp調和写像流の弱解の大域存在とその部分的正則性を証明した(論文準備中). 4. p調和写像に関連するある新しい退化特異型エネルギー最小化問題に対応する時間発展方程式の弱解の大域存在を証明した(論文投稿中).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当研究課題における昨年度, 当年度の研究計画であった, p調和写像流に対する局所スケールエネルギーのスケール変数に関する単調性評価を構築した. この局所スケールエネルギーのスケール関係は, 対応する定常問題のそれとほとんど同じであるという意味で, ほとんど最良である. この局所スケールエネルギーの有界性によって, p調和写像流のpエネルギー有界な滑らかな解に対して一様に成り立つ先験的評価を証明し, pエネルギー有界な滑らかなp調和写像流のコンパクト性, とくに極限写像がp調和写像流の部分的正則な弱解であることを証明し, 極限写像の特異性集合の大きさをハウスドルフ測度でほとんど最良に評価した. 以上は, p>2の場合の結果である.
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今後の研究の推進方策 |
1. 1<p<2の場合について, pエネルギー有界な滑らかなp調和写像流に対して一様に成り立つ先験的評価を, 局所スケールエネルギーの有界性のもと証明する. このために, 局所スケールエネルギーに対する単調性評価を, 最良のスケール関係のもと, 時空局所的に証明する. 重み関数と切り落とし関数をうまく選ぶ. これら作業はp>2の場合を参考に進めることができる. 以上の結果をもとに, 最終課題である, 大きな初期値に対するp調和写像流の弱解の大域存在とその部分的正則性を証明する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初使用計画していた物品費, 旅費に使用しなかった金額が生じたため. とくに, 研究活動のための使用旅費が当初予定していた使用旅費より増加したため, 当初予定していた物品の購入を取りやめた。一方, 使用する必要のあった旅費が他大学負担によって賄われたため.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度平成29年度は研究計画最終年度でもあり, 前年度平成28年度に生じた残額を次年度使用予定学と合算して, 旅費または物品費として使用する予定である.
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