研究実績の概要 |
二つの滑らかなコンパクトリーマン多様体の間の写像に対して, その一階導関数のp乗積分(p>1), pエネルギー, を考える. その臨界関数(Euler Lagrange方程式の解)をp調和写像, またその勾配流をp調和写像流とよぶ. これらは,(時間発展) p調和方程式系, とくに, 非線形退化特異楕円型(放物型)2階偏微分方程式系の解として定まる. 1. p>2の場合に, ほとんど最良の時空スケール関係にある局所スケールエネルギーの有界性のもと, p調和写像流のエネルギー有界な解に対して新しい先験的正則性評価を証明した. このために, p調和写像流の解に対してほとんど最良の時空スケール関係にある局所スケールエネルギーの単調性評価を構築した. また, 以上の先験的正則性評価によって, pエネルギー有界な滑らかなp調和写像流のコンパクト性, とくに極限写像がp調和写像流の部分的正則な弱解であることを証明し, 極限写像の特異点集合の大きさをハウスドルフ測度によってほとんど最良に評価した(前年度平成29年度実施報告書にも記載, 雑誌論文参照最初の2つ). 2. p>2場合に, 滑らかなコンパクト多様体上大きいpエネルギーの初期値に対するp調和写像流の初期値問題の弱解の時間大域存在とその部分的正則性を証明した(論文投稿準備中). 3. p調和写像に関連するある新しい退化特異型エネルギーに対する熱流のとくに球面に値をとる弱解の時間大域存在を証明した(雑誌論文参照3つ目).
|