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2017 年度 実施状況報告書

複素領域での非線型偏微分方程式の解とその特異点の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K04966
研究機関上智大学

研究代表者

田原 秀敏  上智大学, 理工学部, 教授 (60101028)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2020-03-31
キーワード偏微分方程式 / 発散級数解 / ボレル総和法 / q-差分方程式 / Gevrey指数
研究実績の概要

1.時間変数についてq-差分, 空間変数について偏微分をもつq-差分偏微分方程式の発散級数解のボレル総和法については, 一昨年度と昨年度の研究で最終的な形で解決された。本年度は, この結果を論文にまとめて, Funkcialaj Ekvacioj に投稿した。改訂を経た上で3月にアクセプトされた。
2.線形偏微分方程式の発散級数解のボレル総和法の研究は, Miyake, Balser, Ouchi, Ichinobe 達により, 精力的な研究がなされてきた。この内, 非コワレスキー型とよばれる線形偏微分方程式の場合について, 多くの興味深い例を計算した。結果として, 方程式の係数が空間変数に依存している場合に, 従来の常識を覆すような極めて特異な反例の構成に成功した。これらについては,10月に京都大学数理解析研究所で開かれた研究集会で発表した。
3.昨年度に引き続き, A. Lastra 氏(Alcala大)との共同で, 高階の totally characteristic な非線型偏微分方程式で, 空間変数について不確定特異点をもつ方程式について, 発散級数解の Maillet 型定理の研究を行った。昨年度の研究までで, 空間変数についての Gevrey指数に関しては, ある程度の良い見とおしが得られていた。今年度の研究で, 時間変数と空間変数の両方についての良い Gevrey指数の計算に成功した。方程式の係数がすべて非負の場合には, 得られた Gevrey指数が最良のものであることの証明にも成功した。この結果は, 発散級数解を漸近展開とする真の解の構成問題を解く上で重要な役割を果たすと思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は主として, totally characteristic な非線型偏微分方程式で空間変数について不確定特異点をもつものの研究を行った。高階の場合に発散級数解の Gevrey指数の決定に成功したのは大きな成果である。全体として, 順調に進んでいると言える。

今後の研究の推進方策

これまでの研究はおおむね順調に進んだ。4年目の来年度は, 申請時の研究計画に従って, 非線型偏微分方程式の解の特異点の構成とその全体像の解明に向けての研究を行いたい。

次年度使用額が生じた理由

(理由)予定していた外国出張を取り止めたことと, 前年度に未使用額が残っていたために, 今年度も使い残しが出る結果となった。研究の全体を考えて, 無理な予算執行を行なうよりも次年度の執行にまわした方がより効果的であると判断した。
(使用計画)必要な備品, 消耗品(主として学術図書), 研究打ち合わせ・研究発表のための旅費に使用する予定。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] アルカラ大学(スペイン)

    • 国名
      スペイン
    • 外国機関名
      アルカラ大学
  • [雑誌論文] q-Analogues of Laplace and Borel transforms by means of q-exponentials2017

    • 著者名/発表者名
      H. Tahara
    • 雑誌名

      Ann. Inst. Fourier

      巻: 67 ページ: 1865-1903

    • DOI

      10.5802/aif.3124

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] On analytic solutions of some nonilear singular partial differential equations2017

    • 著者名/発表者名
      H. Tahara
    • 学会等名
      Workshop FASdiff17: Formal and Analytic Solutions of Diff. Equations
    • 国際学会
  • [学会発表] Some examples of the Borel summability of formal solutions of linear partial differential equations2017

    • 著者名/発表者名
      田原秀敏
    • 学会等名
      RIMS共同研究(公開型)「Microlocal analysis and asymptotic analysis(超局所解析と漸近解析)」
    • 招待講演
  • [備考] 複素領域での非線型偏微分方程式の解とその特異点の研究

    • URL

      http://pweb.cc.sophia.ac.jp/tahara/kaken.html

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公開日: 2018-12-17  

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