研究課題/領域番号 |
15K04967
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
松山 登喜夫 中央大学, 理工学部, 教授 (70249712)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | Kirchhoff方程式 / Gevreyクラス / 大域解 |
研究実績の概要 |
初期値がGevreyクラスに属するKirchhoff方程式の初期値問題に対して、時刻を任意に与えたときGevrey級解がその時刻まで一意的に存在することを、M. Ruzhansky氏 (Imperial College London) との共同研究をとおして証明を遂行した。我々はこの結果をalmost global existenceと命名した。証明方法は2階線形双曲型偏微分方程式の係数にSchauder-Tychonoffの不動点定理を適用し、線形方程式の解が実はKirchhoff方程式の解となることを示し所要の結果を得ることができた。またKirchhoff方程式にはエネルギー保存則があるが、我々はこの保存則を不動点定理の使用とともに有効に活用したところに最大のアイディアがあるものと自負している。これまで出版されている他の論文ではエネルギー保存則を利用する局面に達しておらず、解を接続する場合にある時刻で止まり結果として時間局所解しか得られていない。本研究はフーリエ変換の方法に依っているのでフーリエ級数を用いれば有界領域の問題が解け、また一般化されたフーリエ変換を用いれば外部領域に対しても同様な結果が得られる。これらの結果は当該年度に論文としてまとめられ、C. R. Acad. Sci. Paris (パリ学士院紀要)から結果の概要が2017年度に出版され、2020年にJ. Anal. Math.から出版される予定である。 なおこれらの結果は、なめらかなクラスに対する可解性に関して現段階では他の結果を凌いでいることを特筆したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目標はKirchhoff方程式の時間大域解の存在を示すことであり、概要で述べられた結果はまだ途中段階にある。問題が極めて難しいため最終年度内で解決できるかどうかは微妙になってきているが、次年度も諦めることなく本研究に取り組む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
大域解の存在証明でShauder-Tychonoffの不動点定理にばかり固執していたが、視点を変えて違うアイディアを現在模索中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた出張を公務多忙のため急遽取りやめたため、使用額が余りました。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の国内出張をする際に有効に活用する予定である。
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