研究課題/領域番号 |
15K04973
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工 |
研究代表者 |
渡邉 宏太郎 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 教授 (30546057)
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研究分担者 |
山岸 弘幸 東京都立産業技術高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10448053)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 一般化Pohozaev関数 / p-Laplace作用素 / 定曲率空間 |
研究実績の概要 |
一般化されたPohozaev関数の構成を通して,特に定曲率空間における非線形楕円型方程式の解の一意性と対応する汎関数の臨界点の非退化性を調べること,また定曲率空間上でp-ラプラス作用素を含む非線形方程式の変分解の諸性質を探究することが本研究の主目的である.前者では球面上や双曲空間上の有界領域でBrezis-Nirenberg型の方程式や松隈型方程式等の正値球対称解の一意性等の性質を導くこと,後者では球面上や双曲平面上の弾性曲線を一般化した 弾性曲線の構成問題等を念頭に置いている.いずれの場合も,幾何学的な性質が方程式に反映されており,この性質をくみ取り,Pohozaev関数の構成や変分解の構成を行ってゆくことが目的であり,興味でもある. より具体的には,以下の項目を達成することが本年度の目標であった. (1)一般化Pohozaev関数の導入による非線形楕円型方程式の正値球対称解の一意性の導出,特に定曲率 空間における非線形方程式への応用,(2)一般化Pohozaev関数による非線形楕円型方程式の正値球対称解の一意性定理の適用範囲の拡張(3)微分幾何学的手法の導入によるGidas-Ni-Nirenberg理論の適用範囲の拡張とその具体的方程式への応用.(4)p-ラプラス作用素を含む非線形方程式の変分解の諸性質を探究.特に球面上や双曲平面上における弾性曲線の一般化である 弾性曲線の構成について
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)一般化Pohozaev関数の導入による非線形楕円型方程式の正値球対称解の一意性の導出及び(2)一般化Pohozaev関数による非線形楕円型方程式の正値球対称解の一意性定理の適用範囲の拡張については,塩路直樹氏(横浜国大)との共著論文2編,Calc. Var. (2016)55:32とLinear and Nonlinear Analysis(LNA) (2015), Vol. 1 No.2にまとめることができた.Calc. Var. では正値球対称解の一意性とその非退化性に関する結果を得ることができ,球面上のBrezis-Nirenberg問題等に適用することができた.LNAでは,この結果を双曲空間上のBrezis-Nirenberg問題に適用した.Sandeep-Mancin(2012)iによって得られていた先行研究の証明を簡略化し,結果を改良できたと考えている. (4)については,球面上のLp弾性曲線を考察し,その停留曲線の構成法をある程度進めることができた.この結果については,現在投稿中である.項目(3)については,他の項目の進展に時間を割いたため,十分に進めることができなかった.次年度以降の目標としたい.
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今後の研究の推進方策 |
一般化Pohozaev関数の導入により非線形楕円型方程式の正値球対称解の一意性及び非退化性について結果を得ることができたので,その応用について研究を進めて行きたいと考えている.特に分岐理論を用いた非球対称な分岐解の構成について考察を行って行きたい.球対称な関数空間内での非退化性が非球対称な分岐解の存在を示す際に写像度の計算を通して役に立つからである. 定曲率空間内のLp弾性曲線の研究では,双曲平面におけるLp弾性曲線の停留曲線の構成を行って行きたい.Lp弾性曲線の停留点の構成ではp>2の場合は,Langer-Singerによるキリングベクトル場の構成法を用いることができない.塩路氏と共に発展させた方法では,そのような場合も扱うことができる.現在は2次元球面上での構成の結果に止まっているが,これを双曲平面上に拡張したいと考えている.研究の進捗状況によっては,定曲率ではない場合,例えば2次元トーラス上でLp弾性曲線の停留点の構成を行ってみたいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
残額は旅費として使用する予定であったが,スケジュールの問題から参加予定であった研究集会に参加できない件が一件あった.このため,B-Aの額は生じた.その他については概ね予定どおりの執行となった.
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次年度使用額の使用計画 |
B-Aの額は次年度の旅費として,国内の学会,国外での研究集会での成果報告に使用したいと考えている.
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