研究課題/領域番号 |
15K04977
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
Brendle Jorg 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (70301851)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 数学基礎論 / 集合論 / トポロジー / 測度論 / 強制法 / 国際情報交換 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、強制法の理論などの集合論の洗練された技法を用いて実数全体とその部分集合の構造を組合せ論的集合論や記述集合論の観点から調べた。特に、連続体の濃度が第二非可算基数より大きくする強制法の反復法の新しい手法の発展に焦点を絞って、連続体の基数不変量の間の大小関係に関する問題などの重要な問題を解決することによって実数直線についての理解を含めた。具体的な研究実績の例は下記通りである。 1. まず、Brooke-Taylor, Friedman と Montoya との共同研究で、Cichon の図式における実数の基数不変量についての多くの結果や、いくつかの無矛盾性の証明を、正則な非可算基数に対する一般化された実数のコンテキストへ拡大した。特に、Bartoszynski-Raisonnier-Stern の定理の一般化を得ており、一般化された Sacks 強制法の Sacks 性質を調べることによって、一般化された基数不変量についての新しい独立性の結果を示した。 2. また、Guzman と Hrusak との共同研究で、極大のほとんど交わりがない集合族に生成されたイデアルのような実数上のイデアルの、コーエン強制などの強制法による破壊可能性についていくつかの結果を証明した。 3. さらに、Hrusak と Torres との共同研究で、タワー、極大フィルターと極大のほとんど交わりがない集合族という三つの極大性の概念に関する基数不変量やダイヤモンド原理をゲーム理論の観点から調べた。 4. 最後に、Farkas と Verner との共同研究で、自然数全体上の定義可能なイデアルに対する Luzin 形の集合族の存在についていくつかの強制法による独立性証明を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
連続体の基数不変量の間の大小関係や、極大のほとんど交わりがない集合族のような極大性条件を満たす実数の部分集合などのテーマについての研究が当初の計画以上に進展している。特に、正則な非可算基数に対する一般化された実数とそれに対応する一般化された基数不変量という新しい研究領域についての研究を発展させることで幾つかの重要な結果を得ている。しかし、二種類のモデルの列を付帯条件として用いる可算台の反復強制法のような新しい技法の開発についての研究が少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
最新の反復強制法構成からのアイディアをはじめ、組合せ論的集合論、記述集合論、トポロジーや測度論などの純粋数学の分野の最先端の技術を用いて、いくつかの問題の解決に焦点を絞って、大きな連続体のコンテキストにおいて強制法による集合論の公理系の新しいモデルの構成について研究を行っていく。 まず、平成28年度の上記の研究を継続し、特に Cichon の図式の一般化された基数不変量の間の大小関係をより深く調べる予定である。また、進行中の Khomskii との、閉集合族から構成できる極大の独立な集合族についての組合せ論的集合論や記述集合論の観点からの共同研究を完成する。さらに、二種類のモデルの列を付帯条件として用いる可算台の反復強制法を発展し、「全疎の極大フィルターの非存在」などの主張が大きな連続体と無矛盾であることの証明を試みる。 強制法の理論や実数の集合論などについては世界的に研究が行われているため、海外の指導研究者との意見交換や共同研究は必要不可欠である。そのため外国旅費に重点をおく計画である。現在の主な研究打ち合わせや研究の成果発表の予定は下記通りである。 5月:メキシコ国立自治大学モレリア(メキシコ)で Hrusak などの研究者との共同研究。6月:ハンブルク大学(ドイツ)で Khomskii などの研究者との共同研究。9月:IMS シンガポールで行われる研究集会「CTFM」への参加の際、Raghavan などの参加者との共同研究。10月:CIRM マルセイユ(フランス)で行われる研究集会「Set Theory」への参加の際、Velickovic などの参加者との共同研究。
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次年度使用額が生じた理由 |
二つの海外出張のとき、滞在費(日当および宿泊代)が部分的に相手の研究機関から出た。また、11月の RIMS 京都での研究集会「無限組合せ論と強制法理論」の際、三人の海外共同研究者を招聘したが、二人しか来れなかった。そのため、必要な旅費が期待より少なかった。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の「今後の推進方策」で説明した通り、外国旅費に重点を絞って使用する。また、11月の RIMS 京都での研究集会「反復強制法の理論と基数不変量」の際、海外共同研究者の滞在費の援助として使用する予定である。
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