研究実績の概要 |
平成29年度は、強制法の理論などの洗練された技法を用いて実数全体の組み合わせ論的構造を集合論の観点から調べた。特に、連続体の濃度を第二非加算基数より大きくする強制法の反復法の新しい手法の発展に焦点を絞って、連続体の基数不変量の間の大小関係に関する問題などの重要な問題を解決することによって実数直線についての理解を深めた。主な研究実績は下記通りである。 1. まず、Cardona と Mejia との共同研究で、matrix iterations における ultrafilter limit に基づいた洗練された保存定理を用いて、Cichon の図式における基数不変量などの多くの連続体の基数不変量が同値に異なる値を取り得ることが無矛盾であることを証明した。 2. 次に、Garcia との共著論文において、非対称的なゲームイデアル、evasion と prediction という組み合わせ論的概念と、実数解析における strong porosity の間の密接な関係を確証し、その三つの概念に対する基数不変量について新しい結果を得た。 3. また、Brian と Hamkins との共著論文において、級数の収束に関連する subseries number を調べ、特に、Laver モデルにおいてこの基数不変量の値を決定することによって、bounding number より小さいことが無矛盾であることを示した。 4. さらに、Khomskii との共同研究で、極大の独立な集合族を記述集合論の観点から調べ、Cohen モデルにおいて射影的な極大の独立な集合族が存在しないことを証明した。 5. 最後に、Castiblanco, Schindler, Wu と Yu との共同研究で、幾つかの実数の特殊部分集合が存在するが、実数の整列順序が存在しないモデルを構成した。
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