研究課題/領域番号 |
15K04978
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
内藤 幸一郎 熊本大学, 工学部, 名誉教授 (10164104)
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研究分担者 |
城本 啓介 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (00343666)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | p-進数論 / 耐量子暗号理論 / 格子暗号理論 / 記号力学系理論 / 符号理論 |
研究実績の概要 |
本研究では記号力学系理論とp-進数論における非アルキメデス的性質等の共通性を利用した複雑性解析研究を基盤としている。代表者はフィボナッチ記号列から記号力学的に定義されるp-進 extremal number と呼ばれるp-進数と、そのべき乗を振動数として持つ準周期的力学系の再帰的挙動解析を行い、再帰性を表す指標である再帰的次元のGAP値が正の値をとることを示すことにより、軌道の予測不能性が生じる十分条件を導いた。これらの研究結果については学術論文誌J.Nonlinear and Convex Anal.に掲載予定である。p-進解析の暗号理論への応用としては、27年度からShamir型攻撃に耐性のあるp-進ナップザック暗号方式を提案し、さらにより強い安全性をもつcommitment scheme付のp-進ナップザック暗号方式を構成提案している。本年度はこれらの成果について国際学会Numeration 2016 で講演発表を行い、学術論文誌P-Adic Numbers, Ultrametric Anal. Appl. に発表、掲載された。さらに、これらのp-進ナップザック暗号系における通信符号の安全性を高める研究や暗号鍵のコンパクト化を進める研究に取り組み、これらの成果については国際学会NAO-Asia2016で招待講演を行い、同国際会議論文誌に掲載予定であり、さらにWorkshop on NACA 2016、Workshop「数論とエルゴード理論 2017」でそれぞれ講演発表を行っている。 分担者は暗号理論に関連する符号理論分野における研究を進め、研究成果は学術論文誌 Des. Codes Cryptography、国際会議論文誌IEEE Trans. Information Theoryに発表、掲載された。さらに多数の研究結果を組み合わせ論関連の国内外の学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代表者、分担者ともに学術雑誌への研究結果の発表と今後の研究展開に継続する国際学会等での研究発表を多数行ない、初年度に引き続き順調な研究成果を上げることができている。両者が指導する若手の学生研究者達との共同研究についても、学術雑誌や国際学会での共同での研究発表も多数行い、同様に順調な研究成果を上げている。
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今後の研究の推進方策 |
代表者は29年度も引き続き非常勤教員としての勤務を継続する。熊本地震の影響で研究設備環境は大学から個人宅へと一時移動し、VPNなどによるネットワーク環境支援による研究を28年度は行っていたが、29年度からは非常勤講師室も大学内に整備され、退職前と同様な研究環境で研究が遂行可能となり、事務的な支援もこれまでと同様に受容できる環境にある。さらに、分担者や若手の学生研究者達ともセミナーなどを通して密接な研究交流を続けることが十分可能な環境を維持することができるため、29年度もこれまでと同様に研究を継続して推進する計画である。さらに大学運営などの業務免除により、本研究に対するエフォート率を増加しての研究遂行が可能であり、国内外の研究者グループとのより一層密接な研究交流と最新の研究情報の収集を通しての研究進展を計画している。
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