この年度では,ラムゼー型問題の新手法の開発のため,前年度と同様に多角的視点から研究を進めた.ラムゼー型問題に関連するグラフの構造研究として,最長パスに関する研究は応用上重要であるが,この年度ではそのようなグラフの最長パスに関するグラフの構造解析に関する研究についても進展が得られ,成果をまとめた論文がJournal of Combinatoricsに掲載された. グラフの安全集合の研究についても新たな進展が得られ,グラフのintegrityと呼ばれるネットワーク構造に関する既知のパラメータとの深い関連が明らかとなり,成果をまとめた論文がDiscrete Applied Mathematicsに掲載された.グラフの安全集合の研究についてはさらに進展し,グラフが完全グラフまたはサイクルであるための非自明な必要十分条件として重み付きグラフ上の安全集合のサイズに関する言明で特徴付けられることが明らかになった.成果をまとめた論文がJournal of Combinatorial Optimizationに掲載された.グラフの構造解析として,グラフの安全集合の視点から様々な知見が得られることが発見され,これによりラムゼー型問題の新手法の開発についても大きな進展を与えることが出来た.2016年に私が提案したグラフの安全集合の概念は多くの研究者の注意を惹き,現在国内外で盛んに研究が進められ,ラムゼー型問題にとどまらずグラフ理論の幅広い領域でその応用可能性が模索されている状況である.尚,本研究における成果発表の機会として,日本数学会秋季総合分科会,日本数学会年会,応用数学合同研究集会において当該研究成果を報告した.
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