本研究では,近年盛んになっている有向グラフによる離散化を用いた力学系や流体力学の研究に,簡潔データ構造などの情報理論の成果を導入し,このような離散化の応用範囲を拡大するアルゴリズムを開発した.データを圧縮したままで力学系の構造を計算することにより,これまではメモリの制限により不可能であった,より現実的かつ高次元の問題へのアプローチが可能になった. また,系の離散表現の難しさを情報エントロピーという指標で表すことで,力学系や流体の複雑さと情報量の相関,特に位相的エントロピーと情報エントロピーの関係についての新しい知見を得ることもできた.
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