研究課題/領域番号 |
15K04993
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
関口 良行 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (50434890)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 最適化理論 / 実代数幾何 / 凸解析 / 半生定値計画 |
研究実績の概要 |
平成 29 年度は SIAM Conference on Optimization に参加し,成果発表を行った.また,SIAM Conference on Algebraic Geometry に参加し,情報収集を行った. スペクトル多面体とは,半正定値行列錐と線形部分空間との共通部分で表される集合である.スペクトル多面体は半正定値計画問題の実行可能領域や相関行列の集合など様々な場面で現れる複雑な集合であるが,一方で多面体のような性質も持つ非常に興味深い数学的対象である.前年度の研究では,半正定値計画問題の摂動解析を通じて,「特異な」スペクトル多面体について調べた.本研究では,その知見を応用し,「特異でない」スペクトル多面体を発見することを目標とした.凸多面体においては「非常に良い振る舞いをする凸多面体」がいくつか知られており,それらの概念に対応するものをスペクトル多面体に対して発見することを目指す.そのためにまず,半正定値計画問題において既知の概念である Nondegenete なスペクトル多面体について調べた.特殊な例について,横断性定理を代数的に解釈することにより,Degenerate なスペクトル多面体の決定方程式を Sparse Resultant を使って求めた.しかしその手法の一般化は難しいということが分かった.また,Nondegenerate なスペクトル多面体は,行列補完問題を考える時,Chordal グラフと関係が深いことが知られている.行列補完問題は近年凸代数幾何的な手法でも盛んに研究されており,その関係性を代数幾何的に見直すことが,Nondegenerate なスペクトル多面体の理解には必要だと予想している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Nondegenerate スペクトル多面体,横断性定理,Sparse Resultant などの理解が進んだため
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今後の研究の推進方策 |
行列補完問題は,近年凸代数幾何的な手法でも盛んに研究されており,それらの手法も取り入れながら,「非常に良い振る舞いをするスペクトル多面体」と Chordal グラフの関係について代数幾何的な研究を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成 29 年度は計画通り予算を使用したが,平成 28 年度の余剰金がまだ残っているため.
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