平成30年度は,Brown 大学 Institute for Computational and Experimental Research in Mathematics (ICERM) のセメスタープログラム Nonlinear Algebra における研究集会 Real Algebraic Geometry and Optimization に参加し,情報収集を行った.また,本課題における研究内容の一部を修士課程の数理系専攻で学ぶ学生が理解できるように講義ノートにまとめ,研究代表者のホームページで公開するとともに,九州大学数理学研究院にて集中講義を行った. 平成29年度に引き続き,Nondegenerate な半正定値計画問題,行列補完問題におけるグラフの Chordality についての研究,特異な半正定値計画問題の摂動理論の研究,特異な半正定値計画問題の最適性条件から得られる代数多様体の研究を行った.特異な半正定値計画の研究では,これまでの研究で未解決だった問題を反例を見つけることで否定的に解決した.この反例を追加し修正した論文を現在投稿中である.この反例は従来の予想に反する非常に特殊な性質を持っており,半正定値計画問題の幾何学を発展させる可能性を秘めている.この反例に対して射影幾何的な考察をし,半正定値計画問題の最適解の構造の解析を続けている.また,二次錐計画問題に対して代数次数を求める研究を開始し継続中である.
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