研究実績の概要 |
最終年度の研究計画である空間2次元でのパルスダイナミクスを考察した。まず,1次元的な平面進行波の安定性を考察した。2つの時定数に関しては安定性の変化はなく,分岐は起こらなかった。従って,期待していたHopf分岐(ヘリカル波の出現)も起こらなかった。次に,定常スポット解の構成と安定性の考察を行った。解析的な特異摂動法を用いて,定常スポット解を構成し,その後,安定性解析を行った。その結果,時定数に関してドリフト分岐とHopf分岐が起こることが分かった。また,上手にパラメータを選べば,その複合分岐点も存在することが分かった。その結果は論文にして,現在投稿中である。しかし,その複合分岐点近傍での中心多様体縮約の計算には膨大な計算が必要となり,現在中断中である。これらの計算を避ける方策を見つけなければならないと考えている。 さらに,空間1次元問題に関して,オランダのM. Chirilus-Brukner,オーストラリアのP. Heijister,ドイツのJ.D.M. Rademacherらとの共同研究により,退化次元の少ない対称性のある余次元2のBogdanov-Takens型分岐点近傍での縮約方程式の導出を行い,その重要な係数を決定することが出来た。また,その結果はPDEの数値計算結果とぴったりと一致した。上記の係数を決定する上で,従来のような膨大な計算をする必要はなく,進行フロント解の持っている性質(解の存在性や安定性)を利用して,比較的単純な計算から係数を決定することが出来た。この結果は既に,Journal of Nonlinear Science Vol.29(2019),2911-2953に掲載されている。
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