研究課題/領域番号 |
15K05006
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
富澤 貞男 東京理科大学, 理工学部情報科学科, 教授 (50188778)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 分割表解析 |
研究実績の概要 |
本年度は,具体的に得られた研究成果は主として次の点が上げられる: (1)順序カテゴリ正方分割表において,対称モデルよりも制約の厳しい対角指数型条件付対称(DECS)モデルと準対角指数型条件付対称(QDECS)モデルという新しいモデルを提案した.更に,対角指数対称(DES)モデルの3通りの分解定理を与えた.たとえば,DESモデルが成り立つための必要十分条件は,DECSモデルと行変数と列変数の平均一致モデルが成り立つことである,という定理を与えた.(2)順序カテゴリ多元分割表において,順序準点対称モデルを提案し,点対称モデルが成り立つための必要十分条件は,順序準点対称モデルと平均点対称モデルの両方が成り立つことであるという,定理を与えた.(3)順序カテゴリ正方分割表において,離散的な2変量正規分布型対称モデルを提案した.提案したモデルは,潜在的連続分布として2変量正規分布が仮定できるとき,良く適合するモデルである.シミュレーションで提案モデルの有用性を示した.(4)正方分割表において,部分対称モデルを提案し,さらにそのモデルからの隔たりを測る尺度を提案した.(5)多元分割表において,2次周辺対称性からの隔たりを測る尺度を提案した.この尺度は,T元rカテゴリ分割表において,任意のrxr表に於いてエントロピーを用いた部分尺度を考え,(T-1)個のその重み付き平均により構成されている. これらの研究成果は,従来の推定法,検定法,モデルの選択法などに加えて,モデルの提案,モデルの分解,尺度の提案などに基づく新しい分割表解析法を提案しており,本研究は大きな貢献をしていると言える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の交付申請書に記した研究目的は以下のように複数ある.順に自己点検による評価を行う: (1)多元分割表で種々の対称性モデル(一般的な対称性モデル)の提案と分解を与える;ということに関しては,一般的な対称性のモデルはまだ十分なモデルは提案できていないが,研究実績の概要のところで述べたように,具体的に対角指数型条件付対称モデル,準対角指数型条件付対称モデル,順序準点対称モデル,離散的2変量正規分布型対称モデルなどを提案し,そしてモデルの分解も与えることができ,ある程度の目標は達成できた.(2)多元分割表で種々の対称性のモデルに関する尺度の提案と分解を与える;ということに関しては,研究実績の概要のところで述べたように,多元分割表において,2次周辺対称性からの隔たりを測る尺度を提案した.さらに別な尺度に関しては現在研究が進行中である.(3)多変量確率密度関数における種々の対称性の概念(種々の準対称や周辺対称)を与える;ということに関しては,過去に本研究代表者の研究成果があるが,更にそれらに関連する研究や発展させる研究は現在も取り組んでおり,そして論文が1編投稿中である.(4)離散と連続の多変量解析における融合を潜在分布が2変量対数正規分布で考える;ということに関しては,それに関する論文を作成し,現在学術雑誌へ投稿中である.さらに,連続な潜在分布が2変量t分布のときに良くあてはまる離散型の対称モデルを提案し,それを論文にまとめ,現在投稿中である.(5)多次元離散データを収集(または連続データで離散型のデータに直す)・文献調査する;に関しては現在進行中である.(6)研究成果を論文にまとめ,学術雑誌へ投稿する;に関しては,複数の論文を投稿中である.(7)学会,シンポジウム等で研究発表する;に関しては,多くの学会やシンポジウムで研究成果を発表した.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度と本年度で得られた研究をさらに発展させること.また,十分な研究成果が得られていないものについては目的達成に向けて取り組む予定である.具体的には, (1)多元分割表で種々の対称性モデル(一般的な対称性モデル)の提案と分解を与える.(2)多元分割表で種々の対称性のモデルに関する尺度の提案と分解を与える.(3)多変量確率密度関数における種々の対称性の概念(種々の準対称や周辺対称)を与える(4)離散と連続の多変量解析における融合をいろいろな連続な潜在分布で考える.(5)多次元離散データを収集(または連続データで離散型のデータに直す)・文献調査する.(6)研究成果を論文にまとめ,学術雑誌へ投稿する.(7)学会,シンポジウム等で研究発表する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額(B-A)が余りにも少額のため今年度使用できないため
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額(B-A)が余りにも少額のため,これは次年度の使用計画の物品費,または旅費,あるいは,その他の費目で次年度の助成金と合わせて使用する予定. また,平成28年度と同様に平成29年度の研究を進める.そのためには,関連する図書を必要とする.また,データを収集するための依頼,打ち合わせをするための旅費,そして資料整理に対する謝金が必要である.またデータに統計モデルを当てはめ解析するために,計算機を使用するためのパソコン消耗品が必要である.また,本研究を達成するためには,統計モデルや尺度等を扱ったパソコン用統計ソフトを購入する必要がある.さらに,他の研究機関所属の研究者との通信,及び結果の学会,シンポジウムでの発表,学術雑誌への公開のために,それぞれ通信費,交通費,研究発表旅費,消耗品(論文の別刷り,文房具など)が必要である.
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備考 |
富澤貞男ホームページ(研究論文) http://www.rs.noda.tus.ac.jp/~stomizaw/tomizawa/tom44.html
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