連携研究者3名との緊密な研究連絡のもとに恒常的に検討を進めた。本年度得られた主な研究実績は以下の通りである。 (1)非線形楕円型および放物型方程式の解に対する数値的検証(精度保証)において無限次元ニュートン法を適用する場合の効率化技法を検討した。そのために、それらの線形化逆作用素のノルム評価を高効率・高精度で行う方法を提案しその有用性を数値例により実証した。(2)2次元Navier-Stokes方程式の流れ関数表示による定式化等で重要となる、重調和方程式の解に対する有限要素解の構成的誤差評価の検討を行った。誤差評価過程に楕円型projectionを巧妙に取り込み、その構成的誤差評価に計算機援用証明にの技法を用いて、十分精度良い誤差評価定数を算出することに成功した。(3)非線形放物型熱方程式の全離散解に対する精度保証を行うために、初期値および強制項(方程式の右辺)の滑らかさを前提とした、高精度a priori評価法について検討した。特に、簡単な線形熱方程式の指数関数型全離散スキームについてL2-ノルムおよびH1-ノルムに関する最良オーダーの構成的誤差評価を与えた。これは非線形問題に対する高精度での数値的検証に向けて、その基盤となる結果である。(4)周期が既知であるような熱方程式の周期解に対する全離散有限要素解の構成的誤差評価法を検討した。特に、空間半離散スキームで得られた常微分方程式系に対する基本解行列を用い全離散スキームの構成的誤差評価を得た。(5)流れ関数表示を用いたNavier-Stokes方程式の解の定式化において現れる作用素のコンパクト性を導出した。
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