研究課題/領域番号 |
15K05016
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
三浦 則明 北見工業大学, 工学部, 教授 (30209720)
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研究分担者 |
上野 悟 京都大学, 理学研究科, 助教 (70303807)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 補償光学 / 地表層補償光学 / Phase Diversity / 画像回復 |
研究実績の概要 |
地表層補償光学(GLAO)を動作させる際に必要になる揺らぎ層の高さの情報を得るために、新たに太陽SLODAR法の開発を実施した。飛騨天文台において得られた観測データを処理した結果、地表層に非常に大きな揺らぎが存在するという従来の知見に合致する結果を得ることができた。これについては学会発表を行うと共に、論文として投稿している。 また、GLAOセンサーにおいては、昨年までは投影位相データを中間出力するアルゴリズムを用いていたが、高速化のために観測データから直接地表層波面位相を出力できるアルゴリズムの開発に着手した。基本的な動作は確認できており、今後はこの方法に基づいてセンサーを開発する。 GLAOを高速で動作させることを目的として、GPUによる波面計算の高速化のための実験を進めた。比較的安価な素子を用いた場合でも、計測点が数点であれば、1000Hz以上での動作が可能であることが分かった。この成果については学会発表を行っている。 画像処理については、シーイングの良い時のデータが得られていないので計算機で劣化像を発生させ、それを開発したPhase Diversity(PD)法で処理するという実験を行った。現状、かなりの画像回復の効果が確認できている。PD法においては計算量が非常に大きくなるため、計算機クラスタによって画像処理を実行するシステムを開発し、計算時間を大きく削減することに成功している。この成果は学会発表を行うと共に、8月に国際会議で発表する予定となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
GLAOの開発については、当初想定していなかった技術の開発(太陽SLODARおよびGPU波面推定)が必要となったため、GLAOを望遠鏡に組み込んで実験することができていない。これは当初予定より少し遅れている。 画像処理についてはアルゴリズム開発は順調に進んでいる。ただし、シーイングの良い観測データでの実験はまだできていない。一方、画像処理を計算機クラスタで処理するシステムの開発については想定以上の成果である。 以上を総合して、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
実験室におけるソフトウェアの改善、太陽観測(6月と9月に実施)、データ処理、評価を繰り返しながら、GLAOとPD法の開発を進める。 GLAOについては、飛騨天文台のAO装置にGLAO波面センサーを組み込み、実際に太陽観測を行なう。遅くとも9月までにはGLAOを動作させる。 PD法については、結果の精度を向上させるため、アルゴリズムを複数フレームに対応できるように拡張する。9月までには、必要な観測データを取得し、画像回復の効果を確認する。
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