研究課題
地表層補償光学(GLAO)と画像処理(Phase Diversity法:PD)によって、地上太陽観測において大気の揺らぎを克服し、広視野で鮮明な太陽像を得ることを目的とし、(1)開発したGLAO波面センサーを既存のAO装置に組みこんで、GLAOの効果を観測的に確認すること、および(2)開発したPD法を実観測で得られたデータに適用し、画像改善の効果を評価すること、を実施することにしていた。(1)GLAOについては、波面センサーの開発を進め、参照点が4点に増えた場合でも600Hzで動作可能な性能を達成した。それを実際に飛騨天文台における太陽観測に適用し、大気揺らぎによる画像変動を抑制する効果があることを確認できた。現システムの評価と改善に向けての課題を明らかにし、当初の目的をほぼ達成することができた。この成果については2018年6月開催のSPIE国際会議で発表予定である。さらにGLAOセンサーで必要となる揺らぎ層の高さを求めるために、太陽SLODAR法の開発も行った。これは、従来二重星用に提案されたSLODAR法を太陽観測にも適用できるように拡張したものである。この内容については「光学」2018年6月号への論文の掲載が決定している。(2)飛騨天文台にPD観測光学系を設置し、データ取得を行った。そのデータに開発した手法を適用した結果、広視野での画像改善を確認した。PD法を広視野回復に適用する際、データ処理に膨大な計算時間が必要となる。このため、我々はデータ処理用に計算機クラスタシステムを開発し、処理時間を大幅に削減することに成功した。PD法については、画像改善の効果を確認するだけにとどまらず、効率的なデータ処理システムの開発にまで進むことができ、当初の計画を超える成果を達成できた。これは2018年6月開催のSPIE国際会議で発表予定である。
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光学
巻: 47 ページ: -
https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/general/facilities/dst/Hida-DST-AO.html