すばる望遠鏡による高速電波バーストの追観測プログラムを本格的に開始した。2015年4月に発生した高速電波バーストに対して早速、すばる望遠鏡による追観測を実施した。この高速電波バーストに電波残光が発見され、すばる望遠鏡の可視光画像データが母銀河を同定する上で重要な役割を果たした。さらに、すばる望遠鏡でこの母銀河を分光観測し、赤方偏移 z=0.49 と決定した。母銀河は楕円銀河であり、星形成を行っていない銀河であることから、連星中性子星合体などのシナリオが有力となった。高速電波バーストの距離と母銀河が確定するという歴史的な成果となり、論文はネイチャー誌に掲載された。同時に東大理学部からプレスリリースを行い、NHKニュースや主な新聞で大きく報道された。 ガンマ線バーストに関しては、赤方偏移 z=5.913 で極めて明るく、宇宙再電離を調べる上で理想的なケースとなった GRB 130609A について、宇宙再電離に関する解析結果がすばる望遠鏡とヨーロッパの VLT との間で食い違っている状態であったが、お互いのデータを交換して吟味した結果、我々すばるチームの結果は VLT のデータでも再現されること、食い違いの原因はVLTチームの解析に系統誤差が大きい部分があるため、ということが判明した。この結果は論文として公表した。また、この内容について中国とイタリアの研究会で招待講演を行った。GRBによる再電離研究は、超精密解析が必要となる時代に突入したが、その中で我々日本のすばる望遠鏡チームが世界をリードしていると言える。
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