研究課題
まず新星爆発時の色ー等級図上の時間変化について詳細に検討し、新星には典型的な道筋があることを示した。これは多数の新星について過去に出版されたデータを網羅したうえで詳細に吟味しなおし、距離と星間吸収を独自に提案する方法で求めて再検討を加えたもので、62ページにわたる76個の図を含む集大成といえるものである。次に短い周期の新星が最近観測されていることをふまえ、理論的にもっとも短い回帰周期をもとめた。これは核融合反応が安定であるような場合の新星(強制的に質量降着がスイッチオンオフされたもの)も含んでいる。また、アンドロメダ銀河に出た1年周期の回帰新星M31N 2008-12aの2015年の爆発時には、国際プロジェクトとして、ごく初期のX線で明るい時期(X-ray flash)の観測を試みたが、観測開始が少しおそかったため、未検出に終わった。この観測報告とともに、X-ray flashの理論的な研究(光度曲線など)を計算した。また、M31N 2008-12a の2015年の爆発の多波長観測をまとめた長い論文を出版した。これは大規模国際研究で、観測家と理論家(申請者を含む)の共同研究である。この新星は過去に何度も爆発しているが、今回は時間的に細かいデータがとれ、可視光の光度曲線がピークを含めて初めてはっきりした。また詳細な可視光のスペクトルも得られ、膨張速度や減速など連星系の状況を知るパラメターが求まった。X線の観測でも細かい変動などの貴重なデータが得られた。この新星は白色矮星が非常に重いことがわかっており、Ia型超新星の親天体候補である。連星系のパラメターやガスの様子がわかったことは、今後のIa 型超新星のモデルを考えるうえで貴重なデータを提供する。
2: おおむね順調に進展している
新星の爆発モデルの理論的研究は斉尾氏、蜂巣氏との共同研究として順調にすすんできた。M31N 2008-12aについての共同研究では、直接スペインを訪問して詳細に議論したり、スペインで開かれたWSで議論した。
新星の爆発モデルの理論的研究は斉尾氏や蜂巣氏との共同研究として順調にすすんできており、計算が難しい場合には、計算コードの問題に応じて計算方法の改善を行うめどがほぼつき、順次解決しつつある。今後の進展について問題はないといえる。観測家との共同研究は、特に M31N 2008-12aについては、直接スペインを訪問したりメールのやりとりも頻繁に行う予定である。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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巻: 223 ページ: 1, 62
10.3847/0067-0049/223/2/21
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