研究課題
新星の光度曲線にはさまざまなタイプがあり、減光が遅いもの、速いもの、なめらかでないもの、ダスト形成があるものなど種々多様である。理論的には共通点があり、我々が提案した普遍側であらわされる。キーとなる物理量は白色矮星の質量とガスの元素組成である。新星の光度曲線解析により、回帰新星では白色矮星が非常に重いことがわかっており、Ia型超新星の親天体候補として重要視されている。本年度のもっとも重要な成果は、新星爆発をくりかえして重くなった白色矮星の表面にはシリコンなどを含む薄い層が形成されることをはじめて示したことである。このような白色矮星が超新星爆発をすると、観測されるシリコンの高速度吸収線をよく説明できる。シリコンの高速度成分は多数のIa型超新星で観測されるので、Ia 型超新星候補として回帰新星(SD説)を強く支持するものとなる。次に新星爆発時の共通点について。これまで多種多様な新星爆発にわたる共通の性質を探求してきたが、本年度は早い新星と局所銀河群にあわられた新星について解析を行った。また新しく色ー補正等級図を提案し、その図の上で、個々の新星がどのように進化するかを詳しく解析した。これまで新星のサブタイプによりばらばらだとおもわれてきた新星の進化がこの研究で、わずか2つのグループに分類できることを明らかにした。これは新星の爆発後の物理状態にタイプによらない共通機構があることを意味する。この色ー等級図を使えば、星間吸収や新星までの距離、白色矮星の質量などが、整合的かつ定量的にもとめることができる。これまで解析した新星とあわせ、同一方法で解析した均質な新星のデータベースを作ることができた。またアンドロメダ銀河の1年周期の新星(M31N 2008-12a)の解析も引き続きおこなった。国際的な大観測グループとともに、理論面での詳しい解析を担当した。
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