星間空間におけるアミノ酸をはじめとする生体関連物質の検出は電波望遠鏡による重要な観測目標の一つである。本研究では最も単純なアミノ酸であるグリシンの関わる化学反応ネットワークに着目し、それらを構成する分子のうち、広義のグリシン前駆体として特に重要と考えられるアミノアセトニトリル、ヒダントイン、およびアミノメタノールについて分光学的同定を目指した。その結果、前記二種類の物質の回転スペクトルの測定および帰属に成功し、分子定数を精密に決定した。ALMA望遠鏡の観測上限周波数である1THzまでの周波数範囲でこれらの物質の分子輝線観測を行う上で十分な精度の分光データベースを構築することができた。
|