研究課題
最終年度である2017年度には、マイクロクエーサーCyg X-3からの電波フレアの観測に成功した。Cyg X-3はX線連星であり、主星はブラックホールもしくは中性子星であり、その周りを伴星が回っている。1973年にもアウトバーストを起こしており、その電波フレアを大師堂等が鹿島の望遠鏡を用いて観測した実績がある。この現象は、まずX線がソフトモードからハードモードに変わり、その1ヶ月後くらいから電波活動が活発になり電波フレアが出現すると予想されていた。今回は、既にSWIFT衛星などでX線のモード遷移が観測されていたため、電波検出の準備と整備が進められた。観測された電波フレアの光度曲線を今後検討することにより、降着円盤やジェットと中心核との相互作用の様子などが明らかになると期待される。早稲田大学那須電波干渉計は、空間FFT型という一般に使われてる2素子型とは異なる原理に基づいて機能する観測装置である。この干渉計は直接撮像型とよばれ、リアルタイムに電波源の姿を捉えることができる。また那須電波干渉計の場合は、角度分解能は8素子全長の160mで決まり、視野は1素子のサイズ20mで決まるという特徴をもつ。これにより、0.1°の空間分解能と0.8°の視野をもちあわせていて、バースト電波源の広視野パトロールに適している。本研究で開発された相関解析法をデータ解析に用いることで、1σ~20mJyという高感度な電波観測が実現された。これにより、今回のCyg X-3や2015年のV404 Cygの電波フレアの詳細な観測が可能となった。
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Progress of Theoretical and Experimental Physics
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10.1093/ptep/ptx180
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巻: 840 ページ: 012010~012010
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The Astronomer's Telegram
巻: - ページ: -