研究課題
太陽の1000億倍以上もの光度を赤外線で放射している合体赤外線銀河は、強力なエネルギー源が塵の向こう側に隠されて存在する天体である。エネルギー源としては、星生成活動(活発に生成される星内部で生じる核融合反応によるエネルギー生成)、及び、活動銀河中心核(AGN)活動(太陽の100万倍以上の質量の超巨大ブラックホールへ物質が落ち込む際の重力エネルギーを放射に変換して明るく輝く活動)が考えられる。しかしながら、塵を豊富に持つ合体赤外線銀河では、サイズ的に小さなAGNが塵の奥深くにすぐに埋もれてしまい、観測的に見つけ出すことが困難になるという大きな問題がある。本研究では、塵吸収の影響の小さなサブミリ波に基づく観測から、見つけるのが難しい埋もれたAGNの役割を正しく評価する独自の手法を確立させることを目標とする。2019年度は、以下の研究成果を出すことができ、2本の主著査読論文として成果を世界に公表した。(1) ALMAを用いて合体赤外線銀河の空間分解した高密度分子ガス輝線の観測を行い、期待通り、大部分の天体で、AGNが存在するであろう銀河中心核でAGNのサインが見られることを確認した。以前の赤外線観測からAGNの存在が言われていた合体赤外線銀河に加えて、そうでない天体でも同じ傾向が見られ、塵吸収の影響が極めて小さなサブミリ波で初めて見つかる、銀河中心核の非常に奥深くに埋もれた活動的な超巨大ブラックホールの存在を示した。(2) すばる望遠鏡を用いて、赤外線の多波長で、合体銀河の高空間分解能の撮像観測を実施した。塵に埋もれた複数の活動的な超巨大ブラックホールのサインをいくつかの天体で検出し、合体銀河の数値計算の予言通り、より大質量の超巨大ブラックホールの方が、小質量のものよりも物質を盛んに飲み込んで活動的であることを定量的に明らかにした。
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すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 11件、 査読あり 16件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
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