• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実施状況報告書

新しい星形成活動指標で探る爆発的星形成の核心

研究課題

研究課題/領域番号 15K05035
研究機関国立天文台

研究代表者

中西 康一郎  国立天文台, チリ観測所, 特任准教授 (60399277)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード爆発的星形成
研究実績の概要

近傍宇宙にある爆発的星形成銀河の観測を行い、新しい星形成指標を用いて星形成則を探ることが本研究の主目的である。平成28年度は、天体観測データの処理・解析手法の改良と結果の公表を中心とした研究活動を行った。
アルマ望遠鏡による爆発的星形成銀河の新しい観測が平成28年半ばに実施され、品質チェック済みの観測データが当年度後半にアルマ東アジア地域センターから配布された。配布された観測データに対してより適切な較正処理を改めて施し、本研究の目的に適う高品質な天体画像を得た。画像解析の結果、水素再結合線の検出に成功し、水素再結合線が新しい星形成指標として利用可能であることを実証できた。これは、本研究の重要なマイルストーンを達成できたことを意味している。
水素再結合線データから実際に星形成率を導出したのみならず、データ中に含まれる分子輝線スペクトルを解析することで、爆発的星形成銀河の中心は一様ではなく、大きく異なる物理的性質と化学組成を持つ複数の星形成領域を含み、多様性に富んでいることが明らかになった。
前年度および当年度中に得られたこれらの成果は、国内学会(日本天文学会秋季年会)および国際研究集会("Half a Decade of ALMA", 2016年9月、米国)において発表した。これらの結果をまとめた最初の論文を現在英文専門雑誌に投稿して査読を受けており、次年度中には出版される見込みである。
さらに国内研究者との間で、爆発的星形成のみならず、活動銀河中心核を持つ銀河が放射する水素再結合線の観測について共同研究も進めている。最初の研究成果は査読論文として当年度中に出版された(Izumi, Nakanishi他, 2016)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究第二年度は、アルマ望遠鏡による観測データの処理を引き続き行い、データ処理および解析の手法を確立すると共に、順次結果の公表を行うことが当初計画であった。
実際には、観測データ処理および解析手法を改善し、天体画像の取得に成功した。また、天体からの信号を予想どおりに検出し、本研究の成立性が確かめられたことは重要な達成である。第二年度の途中までに得られた成果は既に国内外の学会・研究会において報告しており、査読論文も現在投稿中であること、さらに共同研究の成果の一部が査読論文として出版されたことは、本研究の進捗が概ね順調であることを示すものである。

今後の研究の推進方策

研究の第三年度(平成29年度)には、第一・二年度に取得した観測データの処理・解析を引き続き行う。データの処理手法を完成させると共に、成果のさらなる公表と出版を目指す。
データの較正処理が完了し天体画像が得られれば、解析作業と詳細な解釈に移行する。天体画像から大質量星形成率と高密度分子ガスの正確な分布と量を取得し、星形成則の正確な推定、他の銀河との比較など、研究の主要部分に関わる作業を進める。第二年度の成果として、銀河の中心領域は多様な個性をもった星形成領域が分布していることが明らかになった。この星形成領域ごとの個性が、星形成活動度や星形成則に与える影響についてもさらに考察を深める。これらの成果は国内学会・国際研究集会等で発表すると共に、論文誌に査読論文として公表する。
新たに配布される予定のデータの解析実行のために計算機資源を増強する。この他、研究の成果を公表するための論文出版費、国内外の研究集会において成果発表を行うための旅費にも研究費を使用する予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた国外研究者(英国)と共同で開催するワークショップを双方の都合により延期し外国旅費支出が無くなったため、当該年度使用額に余剰が生じた。

次年度使用額の使用計画

平成29年度中に予定している、国外研究者(英国)と共同で開催するワークショップおよび研究打合せのための旅費に充当する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] ALMA observations of the submillimetre hydrogen recombination line from the type 2 active nucleus of NGC 10682016

    • 著者名/発表者名
      Izumi, Takuma; Nakanishi, Kouichiro; Imanishi, Masatoshi; Kohno, Kotaro
    • 雑誌名

      Monthly Notices of the Royal Astronomical Society

      巻: 459 ページ: 3629, 3634

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1093/mnras/stw324

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Five Parsec View of the Diverse Starburst Activities in the Heart of NGC2532016

    • 著者名/発表者名
      Ryo Ando, Kotaro Kohno, Yoichi Tamura, Takuma Izumi, Akio Taniguchi, Koichiro Nakanishi, Nanase Harada, Shuro Takano, Taku Nakajima, Tomoka Tosaki, Kazuo Sorai, Naomasa Nakai, Nario Kuno, Hajime Sugai, Kazuya Matsubayashi
    • 学会等名
      Half a Decade of ALMA: Cosmic Dawns Transformed
    • 発表場所
      Renaissance Indian Wells Resort & Spa Indian Wells, CA, USA
    • 年月日
      2016-09-23 – 2016-09-23
    • 国際学会
  • [学会発表] Dense ionized gas embedded with infant massive stellar clusters in the NGC 253 nuclear starburst2016

    • 著者名/発表者名
      Kouichiro Nakanishi, Kazuo Sorai, Naomasa Nakai, Nario Kuno, Kazuya Matsubayashi, Hajime Sugai, Ryo Ando, Kotaro Kohno
    • 学会等名
      Half a Decade of ALMA: Cosmic Dawns Transformed
    • 発表場所
      Renaissance Indian Wells Resort & Spa Indian Wells, CA, USA
    • 年月日
      2016-09-20 – 2016-09-23
    • 国際学会
  • [学会発表] ALMAを用いたサブミリ波帯水素再結合線観測による活動銀河核広輝線 領域の探査可能性の検討2016

    • 著者名/発表者名
      泉拓磨, 河野孝太郎, 中西康一郎, 今西昌俊
    • 学会等名
      日本天文学会秋季年会
    • 発表場所
      愛媛大学(愛媛県松山市)
    • 年月日
      2016-09-14 – 2016-09-16
  • [学会発表] Ionized gas properties in the starburst region of NGC 253 uncovered by ALMA high spatial resolution millimeter observations2016

    • 著者名/発表者名
      中西康一郎, 中井直正, 久野成夫, 河野孝太郎, 安藤亮, 徂徠和夫, 松林和也, 菅井肇
    • 学会等名
      日本天文学会秋季年会
    • 発表場所
      愛媛大学(愛媛県松山市)
    • 年月日
      2016-09-14 – 2016-09-14
  • [学会発表] 5pc分解能で見た近傍星形成銀河NGC253中心部の星形成活動の多様性2016

    • 著者名/発表者名
      安藤亮, 河野孝太郎, 田村陽一, 泉拓磨, 谷口暁星, 中西康一郎, 原田ななせ, 高野秀路, 中島拓, 徂徠和夫, 中井直正, 久野成夫, 菅井肇, 松林和也
    • 学会等名
      日本天文学会秋季年会
    • 発表場所
      愛媛大学(愛媛県松山市)
    • 年月日
      2016-09-14 – 2016-09-14

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi