研究実績の概要 |
近傍宇宙にある爆発的星形成銀河の電波観測を行い、新しい星形成指標を用いて星形成則を探ることが本研究の主目的である。平成30年度には、天体観測データのさらなる解析と結果の公表を中心とした研究活動を行った。 アルマ望遠鏡による観測データの処理と解析を継続する中で、いくつかの技術的課題が明らかになった。国外研究者を本邦に招聘するなどして、国内外の研究者との共同作業を進めた結果、技術的課題の解決と観測結果の解釈を進めることができた。最終的には過去最高の角分解能でNGC 253銀河中心核領域の水素再結合線の空間分布を得ることができ、星形成率の空間分布を導出した。同時に取得した電波連続波の高角分解能画像と水素再結合線画像の比較によって、これらの共通の放射源である電離ガスの物理的性質の解明にも取り組み、電離ガスが高密度であることを見出した。この結果は水素再結合線を用いたより精確性の高い星形成率の導出にも寄与する等の波及効果が見込まれる。当年度中に得られた成果の一部は、国際研究集会("East Asian ALMA Science Workshop 2018", 2018年12月、大阪)において発表した。 国内外の研究者と共に爆発的星形成銀河に対する水素再結合線の探査観測も推進した。水素再結合線の検出には至らなかったが、その成果は英文専門雑誌に査読付論文として掲載された(Imanishi, Nakanishi, Izumi 2018およびImanishi, Nakanishi, Izumi 2019)。
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