研究課題
近傍銀河は銀河を個々の星に分解して観測することが可能であり、理解が進んでいる恒星進化理論との比較を通して銀河の形成進化を詳細に解明できるという点で重要な観測対象である。本研究は、すばる望遠鏡超広視野CCDカメラ Hyper Suprime-Cam (HSC)を用いて近傍銀河研究を行う際に必要となる、HSC標準画像処理パイプラインからの拡張や最適な測光法の比較検討などを行うことにより、近傍銀河研究に特化した解析手法の確立を目指すとともに、今まであまり調べられてこなかった近傍銀河周辺部に本手法を適用することによりその有効性を示すことを目標としている。平成28年度までには、PSF測光法の比較検討、大きな構造の天体があった場合の空の明るさの推定およびその差し引き、画像に写り込むゴーストの除去法についての研究を進め、HSC近傍銀河PSF測光法の構築を完了していた。研究最終年度の平成29年度に行われた研究成果をまとめると下記のようになる。(1)HSC近傍銀河PSF測光法の特長やその性能評価、適用可能範囲などをまとめ、天文学会秋季年会で報告を行った。本報告により、PSF測光法を必要とする研究者と情報交換および手法の共有を行うことができ、大変意義深かった。(2)本手法をこぐま座矮小楕円体銀河へ適用し、潮汐半径を超える領域までの均質な測光データを得ることができた。このデータに基づき、本銀河の構造パラメーターを従来より高精度に導くとともに、主系列星の色-等級分布から連星系割合を推定する研究を行い、国際研究集会において報告を行った。(3)本手法をアンドロメダ銀河ハロー領域に適用し、この領域に存在している恒星ストリームの詳細構造を明らかにするとともに、今まで発見されていなかった非常に淡い恒星密度超過領域の存在を指摘した。この研究成果はアメリカ天文学会誌に掲載された。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
The Astrophysical Journal
巻: 853 ページ: 29~29
https://doi.org/10.3847/1538-4357/aaa129
巻: 842 ページ: 127~127
https://doi.org/10.3847/1538-4357/aa6d11
https://www.naoj.org/Pressrelease/2017/08/02/j_index.html