ヒッグスボゾンはゲージ場の5次元目成分の一部で、ヒッグスボゾンとゲージ場が統一されるゲージヒッグス統合理論に大きな進展があった。クォーク、レプトンの新しい入れ方を発見した。LHCやILCでどのように検証するかを明らかにした。 発見されたヒッグス粒子の背後に新しい物理が待ち受けているのか、鍵となるのはゲージ対称性の自発的破れのメカニズムである。標準模型では、SU(2)xU(1)ゲージ対称性を電磁U(1)ゲージ対称性に破るのにヒッグス機構を用いるが、このやり方ではヒッグス粒子とクォーク・レプトン・ゲージボゾン、そしてヒッグス粒子の自己相互作用は任意のものとなり、原理が欠落している。細谷により1983年に発見された細谷機構では、4次元のヒッグスボゾンはゲージ場の5次元目成分の一部として出現し、ゲージ原理により相互作用が支配される。この細谷機構に基づいた電弱統合理論としてゲージヒッグス統合理論がある。 細谷は、SO(5)xU(1)電弱統合理論を構成し、その予言を導いている。光子、ZボゾンのKaluza-Klein励起モード(Z’粒子)が7 TeV - 8 TeV領域に出現する。ILC 250GeVではこれらのZ’粒子を直接生成は不可能であるが、光子、ZボゾンとZ’粒子の干渉効果がILC 250GeVで顕著に現れる。この干渉効果を測定することで、理論の詳細を探ることができる。 以前の理論を強い相互作用も統合するSO(11)ゲージヒッグス大統一理論に拡張しようとすると大きな問題が生じる。細谷は、SO(11)ゲージヒッグス大統一理論に埋め込むことが可能な新しいクォーク、レプトンの新しい入れ方を発見した。この新しいモデルでは、ILCで測定できる干渉効果のパターンに大きな違いがでる。 細谷はこれらの発展を踏まえ、ゲージヒッグス統一理論を総合的に解説する本を執筆した。
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