2012年のヒッグス粒子の発見後に、我々自身のものを含む多くの研究により、素粒子の標準模型が、量子重力の効果が顕著になるプランク・スケール(現在みているTeVスケールよりさらに千兆倍も上のスケール)まで正しいと仮定しても、理論的な矛盾が生じないことが明らかとなった。一方、宇宙論の分野では素粒子の標準模型では説明のつかない、暗黒物質の存在、および、インフレーションの存在が確実となった。このような状況のもとで、標準模型がプランク・スケールで臨界性を示す、という事実を積極的に取り入れ、ヒッグス場がインフレーションを引き起こす臨界ヒッグス・インフレーションを提唱し、様々な物理的帰結を調べた。
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