重いクォークのパートナー粒子が複数含まれるような場合に関する現象論的な研究を行い、今後の高エネルギー加速器実験での検証可能性について明らかにした。素粒子標準模型を超える理論では、しばしばベクターライクな余分なクォーク導入される。このような模型では特に余分に導入したクォークが標準模型の3世代のクォークとどのように混合するかによって、模型に対する現象論的な制限やLHC実験での検証の可能性に違いがでる。この研究は、Lyon第一大学、デリー大学などの共同研究者のチームと実施している一連の研究プロジェクトの一部である。この研究では、重いトップクォークのパートナーが2つ含まれる場合を考慮した。最初の論文で、このタイプの模型について、新粒子直接探索以外の実験によりどのような現象論的制限を受けるかを明らかにした。次に特に興味深いケースである電弱理論のゲージ対称性の2重項を2つ導入した場合について、LHC実験での新粒子探索の特徴を解析して、論文として発表した。最終年度はボトムクォークの重いパートナーを持つ模型に拡張して解析を進めた。 ヒッグスと重いクォークの物理は、将来のILC実験でも重要なテーマである。標準模型有効場理論の枠組みを用いて、新しい物理の効果による結合定数のずれを、終状態にヒッグス粒子を含まない反応も含め色々な物理量の測定によりどのように探ることができるか、特にビーム偏極の効能を含めて解析した。これらの研究により、理論家と実験家が協力してILCプロジェクトの意義をより明確にする研究の推進に寄与した。 これらの研究成果は、素粒子実験の将来計画を議論する場の、様々な学会や国際会議の発表に活かすことができた。
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