本研究課題ではパルサーからの連続的な重力波を検出する手法の開発と実際の解析をおこなう。2019年4月より米国のLIGOとVirgoは第3次観測O3を開始しており、KAGRAも2019年中にはLIGOとVirgoによる国際重力波観測ネットワークに参加することを目指して活動を続けている。本課題代表者は、KAGRA側の連絡担当者として活動をおこなっている。現在までに、LIGOとVirgoはすでに連星中性子星および連星ブラックホールからの重力波を検出しており、超高密度物質の物性や、ブラックホールの性質について多くの知見を得ている。ここでさらにパルサーなどの単独中性子星や、低質量X線連星からの重力波を検出・解析できれば、これら超高密度・超強磁場天体についてさらに多くの知見が得られると期待されている。現在、パルサーからの重力波の検出は成功していない。本研究課題では、応募者もコーディングに参加したComputeFStatisticコードに加え、新しく開発したノイズ棄却手法(真の重力波信号とノイズの、信号対雑音比の時間発展の違いに着目した、信号とノイズとの弁別手法)の実装をおこなっている。2018年度は、KAGRA連続重力波グループに台湾および韓国から2つの研究者グループを加えることができた。また連続重力波検出と物理の可能性についてホワイトペーパーを執筆し、KAGRAおよび第3世代重力波検出器計画における重点課題を選定する上での資料を提供することができた。KAGRA全体論文としてNature astronomyおよびLiving Reviews in Relativity誌において論文を出版している。
|