研究課題
本年度は,これまでの研究成果のとりまとめとさらなる研究発展のための準備を行った。具体的には,超新星爆発の際に放射される重力波の解析を行い,その中でも,これまでに我々が進めてきた解析手法である Hilbert-Huang Transform (HHT) を用いて,爆発メカニズムの解明に重要と考えられているStanding Acretion Shock Instability (SASI) に起因する重力波モードがどこまで検出できるかについて詳細な解析を行い,そのモードの周波数特性や開始・終了時刻が決定できる可能性を示した。この問題に関しては,KAGRAなどの検出器のノイズの中に埋め込まれた場合に,どの程度の距離まで観測できるかという点は,実際にKAGRAの運転が開始された後に解析する準備を行った。さらに,HHT解析では,信号の一部しか得られていないデータに対しては,モード分解がうまくいかない場合があるが,かなり大きなガウスノイズを人工的に与えてアンサンブルを作成し,その平均を求めることにより,精度よくモード分解が可能であることも示した。これらの研究成果は,日本物理学会やいくつかの国際会議等で発表を行った。重力波データ解析ライブラリ KAGALI の開発では,高精度,高速なデジタルフィルターの実装などを行うとともに,研究協力者とともに,コンパクト連星合体からの重力波データの解析パイプライン構築のためのコード開発進めた。また,C言語プログラムのヘッダーファイルの見直しや統合を進めて,ユーザーインターフェースの改善を行った。さらに,日本のKAGRAと米国LIGOや欧州Virgoの共同観測開始に向けて,データ共有のためのプログラム整備を行った。以上のような成果は,まもなく開始されるKAGRAの観測に大きな貢献をもとらすものである。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 6件)
Adovances in Data Science and Adaptive Analysis
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電子情報通信学会論文誌 B
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