階層的三体系に対する永年摂動論の効果を研究の柱に据えて、銀河中心ブラックホール周りの星団を想定し、第2の巨大ブラックホールが断熱的に落下してくる状況を考えた。系の物理効果を反映した競合する三項からなるハミルトニアンを用いて解析的にも研究を進めた。計画の初期段階で数値的に発見した星の離心率等の特異な遷移、およびこの遷移が軌道要素の初期条件にきわめて敏感であることに対して説明を与えた。具体的には断熱不変量を援用して、位相空間および個々の軌道要素の時間発展を追い、発見した特異な現象がseparatrix通過時の確率分岐によるものであることを突き止めた。
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