• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

格子上の核子系有効場理論による低温高密度系の研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K05082
研究機関九州大学

研究代表者

原田 恒司  九州大学, 基幹教育院, 教授 (00202268)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード核子系有効場 / 繰り込み群 / 格子シミュレーション
研究実績の概要

核子系有効場理論を格子上に定式化し、数値シミュレーションを実行することによって低温・高密度の核子系の物理を探索することを目的として研究を実施している。特にターゲットして考えているのは中性子星の状態方程式を定量的に理解することである。
有効場理論では核子相互作用は接触相互作用として表されるので、格子シミュレーションを実施するためには核子の双1次形式に書き換えることが必要となり、その際に QCD の格子シミュレーションで出会うものとは違う種類の「符号問題」が存在する。このことが、計算を安定的に実施することを妨げている。
昨年度に繰り込み群の解析に基づいた「参照フェルミオン行列式」を用いる再加重法を提案し、これに基づいた計算を行い、この方法の有効性を確認した。しかし、化学ポテンシャルが大きくなるに従って、予想以上に再加重因子の標準偏差が大きくなってしまうこと、また、分配関数の化学ポテンシャルへの依存性についての繰り込み群の影響について、十分に理解ができていないことから、研究成果を論文として発表することを遅らせている。
その間、低密度領域においても、中性子星の冷却過程を理解する上で重要な計算を実施することができることを指摘されたこともあって、現在はその方向での研究を視野に入れて再検討している段階である。また、昨年度は実施しなかった、有限格子間隔による誤差を小さくする定式化による計算の重要性を検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

学術的には「研究実績の概要」に述べたように、化学ポテンシャルが大きくなるときに予想以上に再加重因子の標準偏差が大きくなって、高密度の計算を行う際に現在のやり方で信頼できる結果が得られるのかわからなくなってきたことと、再加重因子の化学ポテンシャルへの依存性について理解できていないところがあると感じているので、そのための研究を先に行う必要性が新たに生じたためである。
個人的には、大学での業務が多忙となり、研究時間が十分に確保できなくなったことによる。

今後の研究の推進方策

「研究実績の概要」に述べたように、化学ポテンシャルへの依存性について研究を継続する。一方、密度が低い場合にも重要な応用があることが指摘されたので、現在の技術で計算できることを用いて、中性子星の冷却について共同研究を始めたいと考えている。
また、より高密度を扱う場合に、今まで考慮して来なかったダイナミカルなパイオンを含めることは必須であるので、それを実施したい。

次年度使用額が生じた理由

昨年度は大学での業務が多忙であったことから研究計画に大きな遅れが生じ、研究発表のための国際会議の出席などができなかったことなどから次年度使用額が生じた。
平成30年度には、3年に1度開催される Few-Body Problems in Physics という国際会議が開かれるので、その参加に使用したい。また、核物理学分野の秋の学会はハワイで開かれる。この会議に参加するための旅費としても使用したい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 格子上の核子系有効場理論の繰り込み群に基づく再加重法2017

    • 著者名/発表者名
      原田恒司、佐々部悟、八尋正信
    • 学会等名
      日本物理学会 2017年秋季大会

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi