近年の重力波観測やブラックホールの直接撮影に象徴されるように、一般相対論の研究は理論と観測が両輪となって進む精密科学への転換期を迎えている。そのような時期に、ワームホールというエキゾチックでありながら一般相対論において重要な位置を占める対象について、その性質(量子論的不安定性)を明らかにできたことは学術的意義が大きい。また、SFとも揶揄されかねない対象について、信頼できる枠組みで低エネルギー再現実験について論じた本研究は、青少年の科学的興味を刺激し、基礎科学と科学技術の融合を推進するという点で社会的意義も大きいと言える。
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