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2017 年度 実施状況報告書

複素G行列有効核力に基づく微視的核反応研究の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 15K05087
研究機関大阪市立大学

研究代表者

櫻木 弘之  大阪市立大学, 総務課, 副学長 (90183821)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード複素G行列 / 重イオン散乱 / 高密度核物質 / 微視的核反応理論 / 原子核間相互作用 / 遷移密度
研究実績の概要

(1) 中国Beihang大学および大阪大学の実験グループとの共同研究で測定したE/A=100 MeV での12C+12C系の弾性・非弾性散乱の実験データを、昨年度に複素G行列を用いた微視的反応理論で解析した結果をPhysical Review C誌に出版した。これは3体力の効果が弾性散乱だけでなく低励起状態への非弾性散乱断面積の相対比率や角度分布の違いとして現れることを示したもので、非弾性散乱の実験的観測が3体力を含む相互作用の詳細を研究する手段として有効であることを示唆する結果であることを明らかにしたものである。

(2)昨年度より大阪市立大学に着任した特任講師2名および客員教授1名と共同で、Constrained Hartree-Fock-Bogoliubov plus Local quasiparticle RPA(CHFB+LQRPA)法を用いて中重核の微視的遷移密度を導出し、複素G行列相互作用を用いて反応計算に適用する新たな手法を開発した。これにより従来は核反応実験による検証が困難であった微視的核構造理論の信頼性を、直接核反応実験により検証する方法論を開拓した。今後、この新たな手法を、中性子過剰核を含む種々の変形度をもつ中重核の核反応に適用して実証的検証を行う事により、微視的核構造論と微視的反応論をつなぐ新たな手法の確立と核構造研究の新たな展開が期待される。

(3)本課題に深く関連する研究会を、2月に大阪市立大学において実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

微視的核構造論を専門とする新たな研究協力者が加わり、当初は想定していなかった新たな研究領域への展開の道が開けつつある。これは予定外の新たな挑戦であり、理論体系自体の再定式化を検討するのに時間がかかった。今年度末までに方法論と実際の数値計算の目途が立ち、これを実際の核反応計算に適用する直前の段階にまで達しているが、今年度内に数値計算を含む一定の結果を得ることが困難であったため、最終年度にあたり1年間の研究期間の延長を申請し承認を得た。平成30年度当初より既に新たな進展をみており、新年度内には当初予定していた以上の結果が得られることが期待される。

また、昨年度より副学長としての大学の管理運営業務へ割くエフォートが増加したため、課題採択時に予定していたより研究全体の進捗状況がやや遅れ気味であるが、1年間の延長により当初予定していた成果および予定外の新たな展開が期待される。

今後の研究の推進方策

前年度の研究実績の概要で述べた、新たな研究協力者を加えた新しい展開(CHFB+LQRPA法を用いて導出した微視的遷移密度を複素G行列相互作用を用いたfolding modelにより微視的核反応に組み込む手法)について、その方法論の確立と有効性の検証を目指す。

具体的には、典型的なprolate変形、oblate変形、γ-unstableな三軸非対称変形を示す中重核の弾性・非弾性散乱についての理論計算を行い、これらの特徴が観測量にどのように現れるかを具体的に示すとともに、構造計算が予想する変形や構造転移の実験的観測が期待される具体例を示し、可能であれば実験のプロポーザルに繋がる提案を行いたい。

次年度使用額が生じた理由

研究予定年度の2年目より研究代表者が副学長に就任し大学の管理運営業務へ割くエフォートが増加した上、本年度中に両親が相次いで他界したため、採択時に予定していた研究全体の進捗がやや遅延し予定していた学会出席等の執行が出来なかったため、止む無く次年度への研究期間延長が不可欠となった。当該年度に実施する予定であった学会発表等を次年度に行う予定であり、繰り越した助成金をこれに充てる予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [国際共同研究] Beihang University, Beijin/Institute of Modern Physics,/Medical College of Soochow(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      Beihang University, Beijin/Institute of Modern Physics,/Medical College of Soochow
    • 他の機関数
      2
  • [雑誌論文] Repulsive three-body force and channel-coupling effects via C12+C12 scattering at 100A MeV2017

    • 著者名/発表者名
      Qu W. W.、Zhang G. L.、Terashima S.、Furumoto T.、Ayyad Y.、Chen Z. Q.、Guo C. L.、Inoue A.、Le X. Y.、Ong H. J.、Pang D. Y.、Sakaguchi H.、Sakuragi Y.、Sun B. H.、Tamii A.、Tanihata I.、Wang T. F.、Wada R.、Yamamoto Y.
    • 雑誌名

      Physical Review C

      巻: 95 ページ: 044616(14pages)

    • DOI

      10.1103/PhysRevC.95.044616

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著

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公開日: 2018-12-17  

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