研究課題
平成30年度の研究の主な実績は、(1) N=126アイソトーンの従来の標準的なモデルより短い殻模型によるβ崩壊の半減期を用いて、ウラン、トリウムに至るまでのr-過程元素合成を、コア崩壊型超新星爆発、中性子星合体の天体条件で調べ、r-過程元素合成の場所の特定に有益、不可欠な情報を得ることができた。(2) 16Oのスピン双極子遷移強度、ニュートリノ-16O反応の様々な分岐チャネルごとの反応断面積を殻模型によって評価した。荷電変換型断面積が受けるニュートリノ振動の影響、ニュートリノ質量階層に対する依存性を調べ、将来のSUPER-KAMIOKANDEにおける測定可能性を議論した。(3) 基本的核力に基づいて中性子過剰炭素同位体核の構造を研究し、半径、shell-gapの特徴から新しい魔法数、陽紙数Z=6の証拠を得た。また、中性子過剰窒素同位体核での陽子分布の半径の研究から中性子数N=14魔法数の証拠を得た(4) N=Zのsd殻核の磁気双極子遷移において、遷移強度の減少のアイソスピン依存性と核力の関係、特にアイソスカラー型ペアリング力の効果の重要性を調べた。研究期間全体を通じては、原子核のスピン応答を正しく記述できる新しい殻模型ハミルトニアンを用いて、fp殻核、sd殻核を中心に高圧・高温の天体条件下での精密な電子捕獲率、β崩壊率、ニュートリノ‐原子核反応断面積を系統的に評価し、これらの弱遷移率を用いて(1)Ia型超新星爆発における中性子過剰鉄属元素の過剰生成問題の解決、(2) 中性子星クラストでのUrca過程に重要な逆転の島領域核の弱遷移率の正しい評価、また(3) 基本的な核子-核子間相互作用に基づく三体模型による22Cの二中性子ハローの構造の解析、等に大きな成果を挙げることができた。天体での元素合成過程や核Urca過程、星の進化に重要な精密な核データの蓄積を行うことができた。
(1) rates for sd-shell: obtained with USDB with Coulomb effects (A=17-28)(2) rates for pf-shell: obtained with GXPF1J
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 5件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 7件、 招待講演 4件) 備考 (2件)
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