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2022 年度 実績報告書

高次元ブラックホールの安定性

研究課題

研究課題/領域番号 15K05092
研究機関近畿大学

研究代表者

石橋 明浩  近畿大学, 理工学部, 教授 (10469877)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2023-03-31
キーワードブラックホール / 重力理論 / 超弦理論 / 一般相対論 / 宇宙論
研究実績の概要

最終年度は、漸近的反ドジッター時空における静的ブラックホールの安定性解析を行った。昨年度迄の本研究計画により、反ドジッター時空における静的トポロジカル・ブラックホールに対する安定性解析に必要な基礎方程式は導出していた。残された大きな問題点は、その基礎方程式の一般解から具体的に安定・不安定性をどのように判定するかであった。特に摂動の一般解から、物理的に許容される摂動としての特解を得るための境界条件と、その特解に対する安定性・不安定性条件の導出であった。この問題に対して、最終年度の研究では、(1)基礎方程式に含まれる対称演算子の自己共役拡張と境界条件の対応、(2)拡張された自己共役演算子の非負性と境界条件の種類、(3)具体的な解析、の3項目を実際に遂行できた。これらの成果を論文にまとめる作業を行っている。
また、本研究期間全体を通して、AdS/CFT対応を解析に適用することで多くの成果を出すことができた。AdS/CFT対応は、近年の素粒子理論・超弦理論・重力理論全体において大きな潮流をなすホログラフィー原理の一種の具体形である。そこで扱われるのは、本年度の研究でも扱った漸近的反ドジッター(AdS)時空であり、そうした時空構造は臨界ブラックホールなどの地平面近傍にも現れる。また、回転するブラックホールがAdS時空に存在する場合には、超放射不安定性が起こることも知られている。本研究期間において、臨界ブラックホールや回転AdSブラックホールの超放射不安定性に対して一般的な判定基準を提示することができた。また、高次元ブラックホールを含めたより一般的な時空の安定性の一つの指針に、「エネルギー条件」と呼ばれる物質場エネルギーの正値性がある。本研究計画期間内に、AdS/CFT対応を用いて光的エネルギー条件の成否の観点からも本課題に関する多くの成果を出すことができた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Running Newton coupling, scale identification, and black hole thermodynamics2022

    • 著者名/発表者名
      Chiang-Mei Chen, Yi Chen, Akihiro Ishibashi, Nobuyoshi Ohta, and Daiki Yamaguchi
    • 雑誌名

      Physical Review D

      巻: 105 ページ: 106026

    • DOI

      10.1103/PhysRevD.105.106026

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Flows of extremal attractor black holes2022

    • 著者名/発表者名
      Norihiro Iizuka, Akihiro Ishibashi, Kengo Maeda
    • 雑誌名

      Journal of High Energy Physics

      巻: 09 ページ: 093

    • DOI

      10.1007/JHEP09(2022)093

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 漸近安全性による量子ブラックホールと熱力学第1法則2022

    • 著者名/発表者名
      山口大輝、石橋明浩、太田信義、Chiang-Mei Chen, Yi Chen
    • 学会等名
      日本物理学会2022年秋季大会

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公開日: 2023-12-25  

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