研究課題
超新星爆発は、重い星が進化を遂げた最期に起きる華々しい天体現象であり、その爆発メカニズムの鍵が何であるか多くの課題が残されている。本研究の目的は、流体力学とニュートリノ輻射輸送を厳密に記述して、原子核・ニュートリノ物理の不定性のもとで爆発現象を明らかにすることにある。6次元ボルツマン方程式を直接計算できることが本研究の強みである。最終年度の研究では、ニュートリノ輻射流体計算コードによる超新星コアの数値シミュレーションの応用を進めて、高密度天体の反跳現象を発見した。計算コードの一般相対論的な拡張を行い、ニュートリノ放射の非対称性のもとで起こる流体力学的不安定性により、バウンス直後に誕生したばかりの原始中性子星が反跳を受けて早期に移動を始める現象を明らかにした。さらに、超新星ニュートリノバーストの検出イベント数および重力波の基準振動の予測を行い、観測から中心天体の情報を引き出す方法について提案を行った。また、我々の計算で初めて得られた多次元ニュートリノ輻射データの解析により、超新星ニュートリノにおいて集団ニュートリノ振動が起きることを世界で初めて発見して、その出現条件を明らかにした。並行して、超新星爆発シミュレーションにおいて必要な高温高密度核物質の状態方程式データテーブルを最新の理論・観測・実験データに基づいたものに改良を行って全世界に公開し、超新星爆発・ニュートリノ放出への影響を明らかにした。本研究の最終段階となる3次元空間における超新星コアバウンス計算を実現して、6次元空間でのニュートリノ輻射流体の振る舞いを初めて明らかにした。全体として、コアバウンス直後から核物理・ニュートリノ輻射の多次元的な影響が出現し、その初期の違いがのちの爆発の可否に影響を及ぼしていることを新たな知見として得た。これらの成果について、国内・国際会議による口頭発表、査読論文による発表を行なった。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 8件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 学会・シンポジウム開催 (2件)
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