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2015 年度 実施状況報告書

大深度地下実験室における中性子束の長期測定及び稀事象探索に与える影響の定量評価

研究課題

研究課題/領域番号 15K05100
研究機関東京大学

研究代表者

竹田 敦  東京大学, 宇宙線研究所, 助教 (40401286)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード暗黒物質探索 / 中性子バックグラウンド / 季節変動
研究実績の概要

平成27年度は、液体シンチレータ(BICRON社BC-501A)を新規に購入し、既存のチェンバーを有効利用して中性子検出器を製作した。
製作した中性子検出器を用いて、まずは地上において中性子線源からの中性子事象及びガンマ線源からのガンマ事象の測定、環境中性子束の測定を行った。中性子線源としては、Cf-252 及び Y-88/Be 線源を、ガンマ線源としては Co-60 を用いた。
中性子により発生したシンチレーション光は、検出器の両側に取り付けた2本の3インチ光電子増倍管でパイレックス窓を通して読みだされトリガーの生成が行われるとともに信号の波形情報が1GHzのフラッシュADC(FADC)にてディスクに記録される。
Cf-252からの中性子により反跳を受けた陽子は、運動エネルギーが約1MeVの場合にBC-501A中で約200keVの信号として観測される。
現在のところ、FADCによる波形データの取得が順調に行われ、詳細なデータ解析、波形弁別によるガンマ線事象との分離能力の評価等の研究が進められている。
一方で、モンテカルロ・シミュレーションによる中性子事象に対する検出器の応答研究も順調に進められている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成27年度の主目標は、液体シンチレータと光電子増倍管を用いて中性子検出器を製作しデータ収集を行うことと、モンテカルロ・シミュレーションを用いて検出器の中性子応答を詳しく調べることであった。
当初の予定通り、中性子検出器の製作が行われ、地上の実験室にて中性子線源及びガンマ線源等を用いた測定が行われた。1GHz の高速フラッシュADC(FADC)での波形情報の取得が行われ、波形情報を用いた中性子事象とガンマ事象との弁別の研究も予定通り順調に進んでいる。
また、今後推進してゆく地下実験室での環境中性子束の測定では、フラックスが地上に比べて3桁近く減少することから、検出器中に微量に含まれている天然の放射性不純物からのアルファ線吸収反応や自発核分裂により発生する中性子が主要なバックグラウンド源となることが予想されたため、それらの影響がシミュレーションにより詳細に調べられた。

今後の研究の推進方策

平成28年度は、中性子検出器を神岡地下実験室(2,700m水深相当)にもってゆき、環境中性子束の連続長期測定システムを確立し、同じ場所で現在稼働中の暗黒物質探索実験(XMASS実験)において暗黒物質の候補信号に占められる中性子事象の割合の定量評価をモンテカルロ・シミュレーションを駆使しながら遂行する。
地下では、検出器中の微量放射性不純物の影響が無視できなくなるため、それらの影響の定量や低減の研究も合わせて行う。
また、液体シンチレータで測定された環境中性子による陽子の反跳エネルギースペクトルから、もとになる中性子束のエネルギー分布をアンフォールディングにより求める手法の確立や、環境中性子束の季節変動測定も行ってゆく。

次年度使用額が生じた理由

当初計画では、中性子検出器を構成する光電子増倍管を新規購入する予定であったが、中古の光電子増倍管を用いて試験的にデータ取得を行ったところ、問題なく予定通りの測定を遂行できたため、平成27年度は、新規の光電子増倍管を購入しなかった。そのため、予定使用額を下回った。

次年度使用額の使用計画

平成28年度は、中古の光電子増倍管の使用ができなくなるため、当初の予定通り新規に光電子増倍管を購入し、測定を継続する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] XMASSの中性子バックグラウンド2016

    • 著者名/発表者名
      竹田敦
    • 学会等名
      「極低放射能技術」研究会 LBGT2016
    • 発表場所
      徳島大学 常三島キャンパス
    • 年月日
      2016-03-13 – 2016-03-15

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公開日: 2017-01-06  

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